第2編
第5章 俺は大金をどう扱えばいいのだろうか?
第29節 おいしい生活
いつの
しかし、そのチャンスが
チャンスを
――
そういう
――でも、それを
――
俺はベッドの
ベッドから
7
――ちぇっ、
――あとちょっと
俺の
ほんの
――
このまま
そして、パジャマのままスリッパを履いて、自分の部屋の鍵がかけられる引き戸を開けて廊下に出る。
この家というのはつい先月に買ったばかりの、駅前高層タワーマンションの
なにより、メイドの
おそらくはキッチンで朝食を作ってくれている
そして、再び自分の部屋に戻って、制服のズボンを
天井の高い、
リビングと繋がっているキッチンカウンターの近くには、家族で食事を取ることができるダイニングテーブルが置いてある。
すると、
そして、
「
「ああ、おはよ。
なにせ、いつも食事を作ってくれていた母さんは、宝くじが当たってから父さんと一緒に会社を
俺は、そんな料理が並んでいるダイニングテーブルに備え付けてある
そして、置いてあった
――やっぱり、
それが俺の率直な感想であった。
これは
そんなことを思いながら、椅子に座っている俺は
「うん、
すると、
「
座っている俺は、立っている
「それにしても、俺が食べてるときくらい一緒に座って食べてくれてもいいのに。立ったままだと疲れない?」
すると
「お
その、いかにも
そして、心の中で思いを浮かばせながら、俺は再び
――本当は。
――本当は、血の
――どれだけ俺をドギマギさせてるのか知らないんだよな、
そんな
朝食を済ませ、
学校への
何せ、当たった宝くじというのが名前を公表する義務のある州で買ったアメリカの宝くじだったので、記者会見を開いた俺とその家族が数百億円を持っているということは、ニュースで全国放送されて日本中に
そんな
俺は、タクシーの座席から窓を通して空を見上げて、頭の中でお金の計算をする。
――三百億円を持っている人間にとって、千円を使うって事は。
――三百万円を持っている人間が、十分の一円、つまり十
――だとすれば、仮に月に数十万円を使ったとしても、それは月に数十円を使うのと同じ感覚ってことだ。
――つまり、月に数十円の
――それに、もし
――多分、お金がなくなるなんてことは
――少なくとも今の俺には、年に数億円以上のお金を使う日常生活なんて、想像もつかないからな。
そんな考えを頭の中で
ちなみに、宝くじが当たってから一ヶ月半近くが経過したが、預金総額が三百億円を下回る見込みはまだ付いていない。
――本当に、お金ってのは多すぎると減らないもんなんだな。
タクシーの窓から十一月の朝の晴れた青空を見上げながら、そんなことを
そして授業が終わって、今は休み時間。
俺はいつものように悪友三人と合わせて四人で一緒になって、陽の射し込む明るい窓際にある自席周辺のスペースでたむろしつつ、色々と高校生っぽい
内容はというと、もし自分たちの手元に三百億円あったら何に使うかという、そういう
「やっぱりさー、
すると、太っちょで
「もし
その言葉に、ヒョロ長でエロ
「
「
そして俺が声を出す。
「
すると、
「はっ! そんなの
そのクラスに
俺は注意を促す。
「だからお前は、そういうことを叫ぶのを少しは自重しろ。そもそも
その言葉を聞いて、
「ふぅむ、言われてみれば
――それがどんな
「ただ、金持ちになったとしたらアメリカのシリコンバレーにあるという、
そんな
「確か
すると、
「へー、
俺は少しだけ表情を引きつらせた感じで返す。
「あーっとな……実は最近、インターネット用にノートパソコン買ってな。
すると
「はっ! さぁっすがは億万長者だな! 何でも言うことを聞いてくれる
「だーかーらーそーれーはー、
俺の弁明に、
「それはどうかなぁ?
「お前の基準で物事考えるなっつーの」
俺が悪友三人組とそんな
「ケータ、ちょっといい?」
まず俺に声をかけてきた、
俺が小学生のときに、近所の公園で毎日のように一緒に遊んでいた
昔からずっと
「ああ、どうした
俺が返すと、ツリ目の
「アタシの友達の
――
そう考えた俺は答える。
「……いや、もちろん断っといてくれ。全然知らない人と、そんな気にはなれない」
すると、
「ダヨねー、ケータならソー
すると、近くにて
「もー、
この、
小学生の頃に男のふりをしていたレン、もとい
「あははっ、まー
「そんな
そんなことを話しながら、
すると今度は、別の
「
この、いかにもお
俺の所属しているクラスにて学級委員長をしている、お姉さんっぽい柔らかな目つきの
「ああ、どうしたの
俺がそう返すと、
そして、
「上の学年の女子生徒さんから、
――あー、うん。上の学年の女子生徒ね。
――いや、
そんなことを考えながら、俺は
「とりあえず読んどくよ」
俺がそう言うと、
「
その、俺が会ったこともない上級生への気遣いの言葉に、俺は
「あー、大丈夫、わかってるから。ちゃんと読んだ上で、
俺がそこまで言うと
手紙を机近くに置いてある俺の
キーンコーンカーンコーン
その合図に、他のクラスメイト達はそれぞれ自分の席に戻り始める。
自席に歩き出す前に
「しっかし
歩き始めた
「はっ! どうせ金目当てだろーが! どいつもこいつも
そして、同じく戻ろうとしている
「でも、
「ま、高校生になってから色々と
その言葉に、それぞれ背中を向けて歩き始めていた悪友三人が、俺の方に振り返って口々に
「いや、どーみてもハーレムだろ」
「貴様ぁ! 自覚がないと
「
そんな、悪友三人の突っ込みに、俺は乾いた笑い声を出すことしかできなかった。
そして、
日直の掛け声により起立と礼と着席がいつも通りに行われ、窓際の自席に座っている俺は、数学の授業を聞きながら左上の窓の外に広がる冬に入ろうとしている雨の降りそうにない澄んだ青空を
――
――
――先月
いくら大金持ちになったとしても、超人的な
大金持ちってのは、そこらへんにいる大多数の人間と基本は何も変わらない。
何でもできる
俺は相変わらず、自分がなくしてしまった遠い過去のことも思い出せない、ほんの数分後に起こるはずのことも見抜けない、悩みのタネが
――ただ、ちょっとだけ、自分のために
そんなことを、
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