ふと目を覚ますと街から人が消えて究極のぼっちに!?
風櫻
第1話 ふと目を覚ますと
一人机に座って過ごす学校の昼休み。
その教室には、静かに本を読む少女、絵を描いている少年。
そして、窓際の机で頬杖をついている少年『長井 リタ』は、外の景色を眺めていた。
□
この学校は、無駄に景色がいい。学校が山の上にあることもあり、遠くの海まで見ることができる。僕は席替えでこの席になってから、外ばかりながめている気がする。おかげで勉強が頭に入っているかは..........うん。
運動場には、サッカーをしている人や、トラックを周回している人など多種多様である。僕は、外の叫び声などを聞き流しながら、冷たい風に心を落ち着かせていた。
季節は夏の終わり頃。丁度外から吹く風が、秋を感じさせて心地よいのだ。
よし、寝よう。僕は頬杖をついたまま、静かに目を閉じた。
昔も僕は、学校で寝る奴の事を「よく何の抵抗もなく学校で寝ねるよな」などと豪語していたものだが、高校に入ってから、課題の量も増え、睡眠時間がかなり減ったかともあり、他人の目を気にするよりも寝るべきであると考えた訳だ。
家の布団では寝付くのに時間がかかるののに、少し居眠りをする程度の時は、何故かすぐ眠れる。
寝る前のスマホのせいかな。関係ねぇか。
そんな事を思いながら僕は意識を手放した。
□
「......痛てぇ‼︎」
おっと。小さい声ではあったが、つい声にでてしまった。顎を机にぶつけたようで。恥ずかしっ! 頬杖をついたまま寝るものではないなぁ。
打つけた顎をさすりながら、辺りを見渡す。
「................」
長い沈黙。ついさっきまで、教室にいた、生徒はどこかへ行ってしまったようだった。
今、この教室には僕以外いない。よかった。誰にも見られていなくて。ホッとして今度は外を眺める。
先ほどまで、あんなにうるさかった人達は、運動場に一人もいない。
静かだな。
それと同時に変だ。昼休みの終わりまではまだあと二十分もある。
こんなあいつらが静かなはずがない。
そう思った。
僕も口には出さないものの、心の中でクラスメイトが騒いでいるのをみて「高校生にもなって....バカらしい」と、いつも思っている訳で。実際、僕は大人しい方と思う。
軽度な人見知りという理由もあるが。
みんなは何処かへ行ったのだろうか?
嫌な予感がし、冷や汗が流れる。
寝ている間に体育館への呼び出しでもあったか?そんなバカな。と、自問自答したが........
「十分あり得る....かな」
僕は教室の扉を強くバンと開け、体育館へ走った。
体育館へ行くまでの廊下で誰ともすれ違っていない。
僕は、その違和感を感じてはいたが、認めたくなかったのだろう。
「......あれ?」
若干息切れしつつ体育館の扉を開けた。
僕は日頃運動をしてない為体力はほぼ無い。こんな非常事態の時に限って「運動してれば良かった」と常々思う。
やはり体育館に人はいなかった。そして、しばらく体育館の入り口にとどまった。改めて感じるこの違和感を隠さずにはいられない。
幾ら何でも静か過ぎる。
声どころか、物音ひとつ聞こえないのだ。 人がいた気配もない。
一旦ここは諦め、体育館を離れよう。そうだな。先ずは、各教室を見て回る事にしよう。善は急げ。
すぐに教室を見回る。全速力で廊下を走ったにも関わらず、注意する人はもちろんいなかった。
僕の教室がある最上階から一階まで、すべてを見て回ったが、やはり人は一人としていなかった。
所々教室の机の上にノートや開いたままの本などが、置いてある事や、椅子がそのままにされている事が確認できた。
片付ける暇さえもなかったのだろうか。ますます謎が深まるな。
僕が寝ていた時間はせいぜい五分程度のはずだ。一体この間に何があったのか。
廊下の真ん中で突っ立っている間に、昼休みの終わりを告げる無機質な音のチャイムが鳴り響いた。
いつも聞いているはずなのに、その音はいつも以上に大きく、そして寂しく聞こえた。
そしてまた静まる世界。
まるでこの世から人が一人もいなくなってしまったような..........。なんてなことを思いながら。
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