ふと目を覚ますと街から人が消えて究極のぼっちに!?

風櫻

第1話 ふと目を覚ますと


一人机に座って過ごす学校の昼休み。

その教室には、静かに本を読む少女、絵を描いている少年。


そして、窓際の机で頬杖をついている少年『長井 リタ』は、外の景色を眺めていた。



この学校は、無駄に景色がいい。学校が山の上にあることもあり、遠くの海まで見ることができる。僕は席替えでこの席になってから、外ばかりながめている気がする。おかげで勉強が頭に入っているかは..........うん。


運動場には、サッカーをしている人や、トラックを周回している人など多種多様である。僕は、外の叫び声などを聞き流しながら、冷たい風に心を落ち着かせていた。


季節は夏の終わり頃。丁度外から吹く風が、秋を感じさせて心地よいのだ。

よし、寝よう。僕は頬杖をついたまま、静かに目を閉じた。


昔も僕は、学校で寝る奴の事を「よく何の抵抗もなく学校で寝ねるよな」などと豪語していたものだが、高校に入ってから、課題の量も増え、睡眠時間がかなり減ったかともあり、他人の目を気にするよりも寝るべきであると考えた訳だ。

家の布団では寝付くのに時間がかかるののに、少し居眠りをする程度の時は、何故かすぐ眠れる。

寝る前のスマホのせいかな。関係ねぇか。

そんな事を思いながら僕は意識を手放した。







「......痛てぇ‼︎」



おっと。小さい声ではあったが、つい声にでてしまった。顎を机にぶつけたようで。恥ずかしっ! 頬杖をついたまま寝るものではないなぁ。

打つけた顎をさすりながら、辺りを見渡す。


「................」


長い沈黙。ついさっきまで、教室にいた、生徒はどこかへ行ってしまったようだった。


今、この教室には僕以外いない。よかった。誰にも見られていなくて。ホッとして今度は外を眺める。

先ほどまで、あんなにうるさかった人達は、運動場に一人もいない。


静かだな。

それと同時に変だ。昼休みの終わりまではまだあと二十分もある。

こんなあいつらが静かなはずがない。

そう思った。

僕も口には出さないものの、心の中でクラスメイトが騒いでいるのをみて「高校生にもなって....バカらしい」と、いつも思っている訳で。実際、僕は大人しい方と思う。

軽度な人見知りという理由もあるが。


みんなは何処かへ行ったのだろうか?

嫌な予感がし、冷や汗が流れる。

寝ている間に体育館への呼び出しでもあったか?そんなバカな。と、自問自答したが........


「十分あり得る....かな」


僕は教室の扉を強くバンと開け、体育館へ走った。

体育館へ行くまでの廊下で誰ともすれ違っていない。

僕は、その違和感を感じてはいたが、認めたくなかったのだろう。



「......あれ?」


若干息切れしつつ体育館の扉を開けた。


僕は日頃運動をしてない為体力はほぼ無い。こんな非常事態の時に限って「運動してれば良かった」と常々思う。


やはり体育館に人はいなかった。そして、しばらく体育館の入り口にとどまった。改めて感じるこの違和感を隠さずにはいられない。


幾ら何でも静か過ぎる。

声どころか、物音ひとつ聞こえないのだ。 人がいた気配もない。

一旦ここは諦め、体育館を離れよう。そうだな。先ずは、各教室を見て回る事にしよう。善は急げ。

すぐに教室を見回る。全速力で廊下を走ったにも関わらず、注意する人はもちろんいなかった。


僕の教室がある最上階から一階まで、すべてを見て回ったが、やはり人は一人としていなかった。

所々教室の机の上にノートや開いたままの本などが、置いてある事や、椅子がそのままにされている事が確認できた。

片付ける暇さえもなかったのだろうか。ますます謎が深まるな。


僕が寝ていた時間はせいぜい五分程度のはずだ。一体この間に何があったのか。


廊下の真ん中で突っ立っている間に、昼休みの終わりを告げる無機質な音のチャイムが鳴り響いた。

いつも聞いているはずなのに、その音はいつも以上に大きく、そして寂しく聞こえた。


そしてまた静まる世界。


まるでこの世から人が一人もいなくなってしまったような..........。なんてなことを思いながら。

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