ヴァルハラの戦神
零楓うらん
第一章 【始まり】
一幕 【出会いの先に】
「
風に揺れるその髪はとても
「ここならきっと
『あるもの』を
見ているのではなく、風をただ感じていた。
しばらくすると
だが、その突風に
「オーディン・・・
その言葉を最後に、少女は高層ビルから体を
―ヴァルハラの戦神―
1章 1幕【出会いの先に】
よくある
国が
『
体の一部を
と言う
巷(ちまた)では
さらには成神市での
それはつまり成神市の市民人口を
「
朝は
特に学生である俺はさらに憂鬱に感じていた。
世の中には朝が好きな人もいるかもしれない。
でも、俺、
また今日もいつもの
そんな日常に
だが、そこにはいつもの
(また
隣の席は幼なじみの少女の席だったはずだ。
それがもう一個隣の席に
なんとなく
「別にお前の事見てたわけじゃねぇよ」
聞こえるか聞こえないかの声でそう
だけど、今どき成神市では転校生と言うのは
もちろんそれは最近
家族で
ならば転校生が
だがしかし、そんな俺もSAを
それを知るのは幼なじみくらいのもんだが。
「はい、では転校生を
入ってきたのは一人の少女だった。
転校生が女子だったことにより男子から
またこれもいつもの日常だ。
「どうも皆さん始めまして。
姫野川ありすと自己紹介した転校生は、見るからにお
長く
どことなく感じるお嬢様な
身長は女子の中では高い
おそらく俺より少し小さいくらいだろう。
ちなみに俺は165cm。
チビとは自分では思っていない。
転校生が自分の席に着くためにこちら
運動などしたこともないような
だが、
「これからよろしくお願いします」
いつの間にか俺の横まで来ていた転校生のありすは、何気なく俺に話しかけてきた。
「桂木悠真。よろしく」
その
(神様でも
成神市には神がいる、神が生まれると言う
(もう七月になるのかぁ・・・)
俺の高校生活も、
◇◇◇
昼になると俺はいつものように
幼なじみの一人である
これもいつもの日常。
変わらない日々のその
だが、君丈は
その
そういう話しが大好きらしい。
毎度毎度
「でよ、
「不良狩りの女神?なんだその
「なんでもよ、不良を
不良を取り締まる?それだと女番長とかの
「その不良を取り締まってる女の子がなんで女神なんだよ」
「聞いて
「・・・お前女には
見た目もイケメンの
そんな君丈を女子がほっとくわけもなく、
だが、ことごとく
それに
「そういう
「
「そういえばよ、可愛いと言えば今日の転校生はすごかったな。あれこそTHEお
俺の言葉などおそらく聞いてない。
それでも
その
「
そうであれば面白いと思ったことも
「おぉー・・・その
「お前アニメの見すぎなんじゃないか」
自分で言っといてなんだが、君丈の頭が
だが俺がそんな事を
それと言うのも、今日のこれまでの時間割が【国語・家庭科・体育・社会】だったわけだが、国語では
そんな
きっと「私の前で
「でもまあ悠真も気をつけろよ。最近マジで不良とか多くなってるみたいだからな」
「SAのせいだろ?俺だって自分のがあるんだ。いざとなったらこれで戦うさ」
「うーん・・・まあそうかもしれないけどよ」
自分の
だがしかし、俺が持っているのは日常生活に使うようなチップではない。
「悠真が持ってるのって
SAが
本来の日常生活の
俺はある
だが、今まで使う機会は一度もなかった。
その改造チップが出回っていることにより、チンピラや不良が増え、
「・・・ほんとにいざとなった時だけにしろよ」
「俺だってそう
他の人が聞くと
学校が
この街では
なぜなら、成神市は神のいる街だからだ。
転校生のありすが来たことで席を
だけど、ありすは外から来ていると言っていた。
親もなんでそんな名前を付けたんだか。
いや、ありすという名前くらいなら今の世の中普通にいるのかもしれない。
「まあ他人の家庭環境なんて気にしてもしょうがないか」
あまり
まあそんなものにお目にかかれる日は多分来ないだろうけど。
「って・・・ここどこだ?」
物思いにふけっていたら知らない
どこかの
いつもの帰り道をどうやったらこんな場所に来れると言うのか。
「あぁ~?お前
「げっ」
謎の美少女に助けてほしいような
「ここを
轟。その名前は聞き覚えがある。
成神工業高校で有名な
俺の
まさか自分が絡まれるなんて思いもしてなかったが。
「あ、いや・・・ちょっと迷い込んだだけなんだ。気にしないでくれ」
「気にしないでくれ?そんな
今ここで
「
「轟さん!
こっちの話しはガン
そうこうしているうちに
やばい。これはやばい。
どうにか
「俺に
おそらく轟と思われるその人物は、かなりの筋肉で体を
「ちっ」
どう見ても
その一方俺のSAは右手だけ。
体格でもSAでも勝てるとは思えない相手だ。
だが何もしないでやられる気はない。
一か八かでSAを
「
その人は成神第一高校、うちの女生徒の
そしてロングの
見た目を知らない俺でも
「少年。私が来たからにはもう安心だ」
君丈が言っていた不良狩りの女神が
女神が言葉と同時に
「てめぇ誰だ!ふざけてんのか!」
不良の一人が声を大にしてやかる。
「てめぇら下がれ。この
仮面はおそらく身ばれを
不良の轟がうちの高校の
「お前達には聞きたい事がある。私にやられたくなければこの少年を
「待て、俺も
「大丈夫だ少年。気持ちだけ
さっきから少年少年って、同じ高校の生徒なら俺は二年なんだから年が
元からこんな
なんにせよ、女の子一人に戦わせるわけにはいかない。
女神様の
「それを聞いて引き下がらねぇことも知ってんだよなぁ?」
轟は今にもかかってくる
それに対して女神様の方は
「お前ら不良はどこも変わらないな」
「お前のSAの力で俺様に勝ってみるんだな!」
そう吐くと同時、轟はひじからジェットのようなものを出し、高速の
改造SAの中でもかなり
俺は思わず女神さま前に飛び出そうとするが、轟の攻撃は早すぎて俺に動く
だが、その
まるで
拳を
「くっそ!なんだこのSA!てめえなに使ってやがる!」
「ふん。お前はその力で強くなったようだが、上には上がいるものだ。その力では私の
轟は
正直
俺も改造チップの事を色々
だが、SAのチップはSAの中でできることを
オリジナルと言うこともあり得る。
それにしても空中で相手の拳を止めるSAなど、何をどうしたらそんなSAが生まれるのだろうか。
「まぁいい。
踏ん張るようなポーズをとった轟は何とも変な
おそらく最大出力でさっきの拳を出そうとしているのだ。
しかも今回は
「おい、あれはまずいぞ!」
「大丈夫。まあ見ていろ」
次の瞬間、轟は
それを女神様は
そして
やはり何かに
「
女神さまが左手を軽く
何が
「少しやりすぎてしまったか」
「と、轟さんが・・・やられた・・・?」
手下の不良共は
俺もさすがにこれは口をあんぐりと開けるので
「おい」
女神様が不良共に声をかけると、その不良達は
さすがに同じ立場なら俺も
「はぁ、また
開いた口をとりあえず
守ってくれたとは言ってもなんで守ってくれたかもわからないのだ。
「すまんな。
女神様がこっちを
助けてもらったのはむしろこっちの方なのだから
「ん・・・いや、こっちのセリフだ」
まさか噂の女神様に助けてもらったなど行ったら君丈は
それとも
「・・・なんで」
何がなんでなのかも自分でもわからないままにその言葉を
いや、なんで助けてくれたのか考えてたからに
「んー、まあ君には
聞く気もなかった事でもあり、
そんなことよりも一つ気になる事が出来てしまったのだ。
今までは後ろ姿からしかみていなかったが、前から見るとどうにもとある人物に
そしてその
「・・・
「え・・・」
時が止まった。
何秒の間そうしていただろう。体感時間的には30分は立ち尽くしていただろう。
もちろんそんな時間は立っていないが、口に出してはいけない言葉だったのを
そもそもありえない話しとして俺と
だが、ありえない話なのにそれを
学校で初日にしてその
長い
だが、それも身ばれしないためにつけている仮面が口調までも変えている
「・・・な、何か
早口にそう
混乱が混乱を呼ぶ。
だが、今の
「まさか・・・な」
次の日に登校すると、転校生の姫野川ありすは時間ぎりぎりに登校してきた。
皆に昨日と同じく
「・・・おはようございます」
そして俺の前で
目も一瞬しか合わせない。
「姫野川さん、昨日の」
「HR始めるよー席についてねー」
問いただそうとしたがちょうどそこに先生が入ってきて、さえぎられる形になってしまった。
姫野川はこちらを気にすることなく先生の話しを聞いている。
勘違いだったのだろうか。
もしくは
いや、今の反応もおそらくそういう事なのだろう。
昼休みが始まるまでの授業中、俺は
きっと周りから見たら
そして昼休み。
俺は姫野川に声をかけようとした
「えっと、
「え、あぁ。いいよ」
なんと姫野川の方から声をかけてきたのだ。
男子のブーイングを
ついてこいという事なのだろう。
「・・・姫野川さん。話があるんだけどさ」
そう切り出したのは、
なぜ屋上に来て
「昨日のあれ・・・ひめのが―」
「忘れろ」
「・・・え?」
一瞬誰が言ったかわからないくらい低い声。
ここには俺と姫野川ありすの二人しかいない。
つまるところ今の声は目の前でこちらを
「聞こえなかったか?私は―」
姫野川は振り向きざまにもう一度強く言い放った。
「忘れろと言ったんだ」
昨日や朝見せた
それは二重人格を思わせるような変わりようだった。
「忘れろ。それができないなら誰にも言うな」
姫野川の無表情だった顔に感情がこもる。
「言ったら殺す」
それは喜怒哀楽で言う所の
「ま、待てよ。やっぱり昨日のは姫野川さんなのか!」
「そういう事だ。これ以上お前と話す事はない」
そのまま去ろうとする姫野川に、俺がとっさに出た言葉は昨日と同じものだった。
「姫野川っ、お前なんで!」
姫野川は一瞬立ち止まり、少しこちらに首を振って、振り返る事はなく言い放つ。
「お前には関係のない事だ」
昨日の
まるで姫野川が三人いるような
俺の頭は完全にフリーズしてしまう。
姫野川はそんな俺を置いて、屋上から出ていくのだった・・・
俺の中で二日目にして周りの見解とは真逆の
「君丈・・・やっぱり
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