【観光!!】輝く砂浜!輝く思い出!

 皆さんおはようございます!海の上の文屋です!

 今、文屋はル・サンチェ島へと向かう船に乗っています!

 ……それにしても、リオンさん起きませんね。レレイさんはもう起きてるというのに……。

「フミヤ、悪いんだけどリオンの事、起こしてもらえる?」

 仕方がありません。頼まれたら断れない主義なのです。

「リオンさーん。朝ですよー?」

 ……返事がありませんね。

「リオンさーーーん!!」

「っ!?何事ですかっ!?」

 あっ、やっと起きましたか。

「リオンさん、もうそろそろ着くみたいですよ?早く準備をして下さいよ」

「も、申し訳ありません!すぐにっ!」

 リオンさん、朝弱いんですかね?大慌てで洗面所に行きましたよ。

 さて、文屋も一応荷物の確認とかしときましょうか。

 カメラ、手帳、ペン、後、無線機……。よし、必要な物は揃ってますね!

 むっ!?今警笛が聞こえました!急いで外に出てみましょう!


 文屋!共有スペースへイーン!ここからなら前方が見える筈です!

 ん……んんん……?んんっ!?見えてきました!島です!きっとあれがル・サンチェ島に違いありません!!

 急いで下に戻りましょう!いつでもスロープへと行ける様にしておかなければ!


 ん~、リオンさんとレレイさん見当たりませんね~。まだ、部屋にいるんでしょうか?

「リオンさーん!レレイさーん!」

「ごめんなさいフミヤ!ちょっと待ってもらえるー!?」

 むっ、洗面所から聞こえましたね?でも、レレイさんも洗面所にいるなんて、どうしたんでしょうか?ちょっと行ってみましょうか。


「開けますよー?」

 ドアをガチャッ!

 うん?レレイさん、リオンさんの髪を結ってるんですか?

「レレイ、フミヤを待たせてしまっています……もう大丈夫ですから……」

「そういう訳にはいかないわよ。あなた、自分じゃ出来ないんだから」

 ふむ。リオンさんは自分では髪を結べない。これは新情報です!

「別に結ばなくても護衛に支障はありません」

「駄目よ。女の子はね、綺麗にしてなくちゃいけないの」

 ふむふむ。レレイさんの言う事はもっともです!女の子は綺麗にすればするほど輝くんです!

 ……文屋?文屋は取材で色んな所行くんで、綺麗にする必要はありません。どうせ汚れますし。

「フ、フミヤ……申し訳ありません」

「いえいえ!ご心配なく!まだ時間はありますよ!」

「ごめんね?すぐに終わらせるから」

 ふふ、何か親子みたいですね!リオンさんが子供で、レレイさんがお母さんです!……多分、そういう認識で合ってますよね?家族ってこういうものですよね?


「よし!終わり!」

 おっ!終わったようです!

「ありがとうございます。すみません、待たせてしまって」

「いえ!それよりも、急ぎましょう!そろそろ着く頃じゃないですか?」

「そうね。行きましょうか」

 それでは、お二人と一緒に外にゴー!


 ん~!いい潮風です!海の香りがしますね!

 およ?今、係員の方が通り過ぎましたね!これはつまり、スロープを降ろすという事!

「リオンさん!レレイさん!行きましょう!」

「ええ」

「はい」

 スロープは反対側っぽいですね!行きますよー!ダッシュダーッシュ!今の文屋はマグロよりも速いのです!!


 おお!おおおお!!ついに!着きました!ル・サンチェ島!島の方々も歓迎してくれています!

「凄い人の数ですね」

「観光名所だからこうやって出迎えしてくれる人達がいるのよ」

 確かに凄い人数です!ここが栄えているのがよく分かりますね!

 よし、ではスロープを降りましょう!一歩、二歩……三歩っ……とうちゃーく!!上陸であります!ノルマンディーー!

「やっと着いたわね」

「そうですね」

 お二人共随分落ち着いてらっしゃいますね。文屋はもう逸る気持ちが抑えられません!!

「リオンさん!レレイさん!砂浜!砂浜が見たいです!!」

「そうね。見に行きましょうか。行くわよ、リオン」

「はい!」

 もうお二人共、何でそんなゆっくりしてられるんですか!光る砂浜とかスクープですよ!?文屋の鼻フミヤノーズが反応してるんです!

 ううっ!我慢出来ません!走りましょう!

「あっ、ちょっとフミヤ!」

「お待ちください!フミヤ!」

 ふふん!文屋を止める事など出来ないのですよ!目的地に駆ける文屋の足は高速で動く、云わば新幹線なのですから!それっ!フミヤダーッシュ!!

「場所知らないでしょー!」

 ……出戻りの文屋フミヤユーターン!!



 仕方ないのでお二人に付いて行く事にしました。場所も知らないのに突っ走るとは……情け無い。

 心配されて手まで繋がれてしまいました。何か、文屋って幼く見られてるんですかね……?

「勝手に離れては駄目ですよ?」

 うう……言う通りではあるのですが……小さい子みたいな扱いは止めて欲しいのが本音です……。

「……ほら、フミヤ。見えてきたわよ」

 え!?ほ、本当だ!!み、見えてきました!ここからでもはっきり光っているのが分かります!凄いです!キラキラです!キラキラネームよりキラキラです!!

「駄目ですよ?」

 ちょ、ちょっと体が前に傾いただけじゃないですか……。文屋そこまで子供じゃありませんよ?

「わ、分かってますよ。ちょっとよく見ようとして前のめりになっただけです」

「そうですか」

 もう……。まあいいです!目的の物が見えてきてるのは確かです!このまま真っ直ぐ行きましょう!



「着いたわねー」

 うわっは!眩しー!キラキラです!アイドルのコンサートよりも眩しいです!

「凄いですねこれは。私も初めて来ました」

「そういえば、そうね」

 写真!写真を撮らなくては!スクープですよこれは!

 そうそう!サンプルも持ち帰らないと!えっとえっと……何か容器は……。

「フミヤ、勝手に採ったら駄目よ?」

「そうなのですか?」

「ええ。この砂は一つの名所として登録してあるんだから。そこにある物を勝手に持っていったりしちゃ駄目でしょ?」

 う、うっかりしてました!文屋としたことが……!考えてみれば当然ですね!今まで色んな国に行ってきましたが、どこもそうでした!写真は撮っても物採らない!基本でした!

「すみません!その通りでした!」

「お土産で売ってるんだから、それを買えばいいわよ」

 うううう、うっかりしてました!!そういえば、ゴードンさんが見せてくれましたね!全く、今日の文屋はうっかりが多いです!うっかり文屋です!

「そうですね!そうします!」

「言う事を聞けるフミヤ、賢いです」

 リオンさん……ちょっと文屋の事馬鹿にしてません……?

 あっ、そういえばこの砂、何で光ってるんでしょう?

「レレイさん。この砂が光ってる理由分かります?」

「私も科学者じゃないから詳しくは分からないけど、砂の中が何層にもなっていて、太陽の光を中で何度も反射するから光って見えるって聞いた事あるわね」

 ほー!興味深いです!この小さな粒の中でそんな事が起きているとは!

 …………え?今の音……。

「……すみません」

「そろそろご飯でも食べましょうか?リオンもお腹空いてるみたいだし」

「ご飯ですか!ここは何が有名なんですかね?」

「ここは島だから、やっぱり魚かな?」

 魚!日本で育った文屋にとっては故郷の味です!じゅるり……!

「レレイ。行きましょう」

「え、ええ?」

 リオンさんも張り切っていますね!魚はおいしいですから!仕方ありませんね!!

「行きましょう!レレイさん!」

「行きましょう、レレイ」

 二人でレレイさんの手を引っ張ります!えぇ~んやこ~らっどっこいしょ!さながら気分は綱引きです!

「ちょ!待って待って!痛い痛い!」




 沢山お店がある通りにやってきました!どうやらこの辺りは観光客目当てのお店がほとんどの様ですね!

「レレイ、どこにしますか?」

「いたた……。そ、そうねぇ、ここら辺で有名なのは『クルクン』かしら……」

 クルクン!何か、グルクンみたいですね!ザ・魚!って感じです!

「どこにあるのですか?」

「リオン、ちょっと落ち着いて?お腹空いてるのは分かったから」

 むむむ……リオンさんを見てると文屋までお腹空いてきました!もうグーペコです!

「レレイさん!案内お願いします!」

「……フミヤも落ち着いてね」

 いざ、クルクンにレッツらゴーです!





「ここよ」

 着きました!中々風情のあるお店です!

「失礼します」

 あっ!リオンさん先に入っちゃいました!これは相当お腹空いてますね!

「フミヤ、私達も行きましょうか?」

「はい!」

 早速中に入ります!

 おお!中もいい感じです!こういうの何風って言うんでしょうか?ちょっとよく分かりませんが、文屋の好きな雰囲気です!

「いらっしゃい。三名で?」

「ええ。三名です」

「お席ご自由にどうぞぉ」

 店長さんですかね?ちょっとダウナー系っぽいですが、悪い人ではなさそうです!

 おっ?リオンさんもう席に着いてますね。ぷぷぷっ、これではリオンさんの方が子供ですね!

 さて、文屋も座りますか。

「私はもう決めました。レレイとフミヤはどうしますか?」

 は、早いですね……。ん~どうしましょうか。

 ……ん?これ、あんまり変わったメニューありませんね。日本でも見られた料理が多いです。やはり、元の世界と似た部分が多いようですね。

「フミヤ。もう決めた?私はもう決めたけど」

「決めたのですか!?ん~……そうですね……じゃ、じゃあこれにしようかな?」

「オーダー!」

 リオンさん、反応速すぎですよ……。




 おっ、来ましたね。

 まずはレレイさんのですね。レレイさんは鯛の塩焼きを頼んでました!シンプルイズベストですね!

 文屋のも来ました!文屋はちょっと冒険してみました!『リュード揚げ』という物です!むむ、これは揚げ物ですね。聞いた事無い名前ですが、どんな魚なんでしょうか?

 そういえば、リオンさんは何かいっぱい頼んでましたね……。テーブルに乗るんでしょうか?

「はい、最初の一品どうぞぉ」

 お?これはマグロの……照り焼きでしょうか?

「ありがとうございます」

「とりあえず、いただきましょうか?」

「はい!」

 皆で一緒にいただきます!あれ?そういえば今気付きましたが、普通にいただきますするんですね。これも記録しときたいですね!



 ふぅ……満足です!最初は不安でしたが、あれはウツボみたいな感じでしたね。リュードって言うのはウツボに近いのかもしれません!

 しかし、リオンさんよく食べましたね……。明らかに文屋達より量多かったのに、文屋達が食べ終わるスピードに間に合わせましたよ。結構体力使う仕事という事ですね。

「さて、食べ終わったならそろそろ……」

「待ってください」

 ん?リオンさんどうしたんでしょう?

「どうしたの?」

「レレイ。最後に一つだけ食べたい物があります。頼んでもいいですか?」

「ええ。何が食べたいの?」

「これです」

 んん?何々……チーズケーキ?ほうほう、なるほど。名物と書いてありますね。これは文屋も気になります!

「チーズケーキ?いいけど、今から作るのかしら?」

 そういえばそうですね。冷蔵庫とか無いでしょうし、今から作るって事なんでしょうか?だとしたら、取材のチャンスかも……。

「試しに頼んでみましょう」

「はい!文屋も一つお願いしたいです!」

「……じゃあ私も頼もうかな?」

 満場一致!一致団結!皆で食べればハッピーです!

「すみません!」

「はいはい、何でしょう?」

「チーズケーキ三つ、お願いできますか?」

「いいですけど、ちょっと時間掛かりますよ?」

「構いません」

 やはり今から作る感じですね!チャンスです!

「あのすみません!お願いがあります!」

「何でしょう?」

「もし宜しければ、作るところを取材させていただけませんか?」

「取材?……ちょっと待ってて下さいね?」

 店長さん奥に行かれました。ん?階段を上ってますが……。



 あっ!降りてこられました!

「えっと……お一人でしたら大丈夫かと」

 ん?と言う事は文屋だけなら大丈夫と言う事でしょうか?

「えっと、じゃあ文屋だけでもいいですか?」

「私は構わないわよ。止めても行くでしょ?」

「私も構いません」

 よし!承諾取れました!

「では、文屋が行きます!」

「分かりました。では、こちらへ」

 先程の階段を上っていきます!ドッキドッキ!

 店長さんがドアを叩きます。

「入るよ。……さぁ、どうぞ」

「はい!お邪魔します!」

 意気揚々と部屋に足を踏み入れます!

 ……おや、あの釜は……それにあの女性は……?

「あ……あの……け、見学という事ですよね……?」

 気弱そうな方ですね。なるべく大声を出さない様にしないと。

「はい。今日はチーズケーキ作りを見せていただこうかと。あの……それで、その釜は?」

「あっ……こ、これは錬金釜と言いまして……これに、その……材料とかを入れまして……」

 ななな、何と!錬金釜!?これもしかして、あの錬金術ですか!?まさか、こんな所でお目に掛かれるとは!

「れ、錬金術ですか!?」

「ひゃいっ!?は、はいぃ……!れれ、錬金術です……!」

 はっ!まずいまずい。つい、素の部分が……!

「あ、すみません。そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。ちょっと見せてもらえませんか?」

「は……はい……。えっと、まずは……」

 お、あれはチーズですかね?確かに必要ですね。それにあれは……。



 なるほど、錬金術ってこんな感じなんですね。これ、かなり便利ですね。釜に材料を入れて、掻き混ぜて、後はしばらく待つだけと……。

「あ、あの……」

「はい?何ですか?」

「え、えっと……あまり見られると、恥ずかしいというか……」

 うーん……恥ずかしがる事無いと思うのですが……。

「すみません。それじゃあ最後にお名前だけ聞かせてもらえませんか?」

「な、名前ですか?そんな人に名乗れる様な名前じゃ……」

「いえいえ、そんな事は無いですよ?教えて下さい」

「……ヘルメス・アルケミーです……はい……」

 ヘルメスさんですか!可愛らしいお名前です!

「素敵なお名前ですね?」

「い、いえっ!そんな……私なんか、ゴミ虫みたいな、いえそれ以下の名前です……」

 困りましたね……。取材は一応終わりにしようかと思いましたけど、ここで終わると後味が悪いです。

 仕方ありません。手を繋いであげましょう。

「ひっ!?」

「おっと、大丈夫ですよ。別に酷い事したりしませんから」

「あ……は、はい……」

「あんまり自分の事、卑下しないで下さいね?」

「ご、ごめんなさい……」

 少しは持ち直しましたかね?あんまり長くいたら失礼ですし、戻りましょうか。

「では、文屋はこれで戻ります。御協力、ありがとうございました!」

「っ!……こ、こちらこそ」

 さて、戻りますかね。

 ん?何か、音がして……え?何か、釜が光ってません……?


「んぎゃああああぁぁあぁあああ!??」

 うげーっ!?ぐっ……せ、背中打っちゃいました……。

「ど、どうしたのですか!?」

「ちょっと、大丈夫!?」

 う……お二人は何とも無かったようです……。

「ま、まあ文屋はこれまで色んな所に行って来ましたからね……これ位、どうという事は無いです……」

「そ、そう。あなた結構危ない橋を渡ってきたのね……」

 うぅ、しかし背中を打ったのは地味に痛かったです……。

「お、お客さん、大丈夫でしたか!?」

「う、はい。大丈夫です……」

 はっ!それよりもヘルメスさんはどこに!?結構至近距離で巻き込まれてましたけど!?

 あっ!良かった。いました!しかし……一緒に階段から吹っ飛んで落ちたという事ですか……結構な威力ですね……。

「ヘルメス、大丈夫か……?」

 あっ、店長さんが近くに行きました。本当に大丈夫でしょうか……。

「うっ……ぐすっ……」

 あっ……この感じ文屋苦手です……。泣かないで……。

「ごめんなさっ……!ごめんなさいっ……!」

「ヘルメス、大丈夫だから、ね?」

 うぅ……どうやったら泣き止んでくれるんでしょう?

「あの、今のは何が起こったんですか?」

 あっ、リオンさんここは空気読まなきゃ駄目ですよ!

「うわぁあああああああーーーーっ!!」

 ああ……ついに大泣きしちゃいました……。

「……リオン、フミヤ。出ましょう」

 な、何を言ってるんですかレレイさん……?

「お金、ここに置いておきます。……行きましょう」

「え?ちょっ、ちょっとレレイさん!?」

「レレイ?」

「……いいから」

 う……し、仕方ありません。行きましょう……。店長さんを信じましょう……。


「レレイ。あれはどういう?」

「……あの子は、確かトリスメギストスの弟子だった筈」

 む、レレイさんは知っているみたいですね。

「有名な錬金術師でね。昔、うちの政府で開発班に勤めてたはずよ。その時に、あの子によく似た子がいたのを覚えてるわ」

「その後、どうなったのですか?」

「確か、引退して、どこかに消えたのよ。恐らくあの子は、その時に一緒に付いていってたんでしょうね」

 どうやら有名な錬金術師のお弟子さんみたいですね。しかし、まだあまり上手には出来ない様です。

 文屋は技術面の事はよく分かりませんが、何とか、元気付けてあげたいですね……。

「レレイさん。何とか元気付けてはあげられないでしょうか?」

「そっとしておきましょう。部外者がどうこうしてもあの子を混乱させるだけよ」

「フミヤ。私もレレイに賛同します」

 二対一ですか……。仕方ありません。諦めましょう……。文屋にもいい方法が思い浮かびませんし……。




 お二人に連れられてお土産屋さんに来ました。

 ……ええい!いつまでもクヨクヨしない!文屋のフミは『踏みとどまらない』のフミです!

「フミヤ。ありましたよ」

 お?おお!これは、まさしく!ゴードンさんが見せてくださった瓶詰めの砂!凄いです!綺麗です!

「あ、ありがとうございます!では早速買ってきます!」

「もうお金は払ってますよ」

 何と!ぐぬぬ……イ、イケメンな事を……!もうリオンさんには『イケメンで賞』をあげちゃいます!

「すみません!大事にします!」

「フミヤ。こっち向いて」

 ん?レレイさん?

「これ、どうかしら?」

 へ?これは、ネックレスですか?ふ、文屋こんなの初めて付けました!

「お、おお!初めて付けます!」

「似合っていますよ」

「ええ。とっても」

 に、似合ってるのですか?ま、まあお二人がそう言うなら間違いありませんね!うん!

「えっと、これおいくらですか?」

「私が買っといたわよ」

 ……レレイさんもイケメンでした!文屋、気付かぬ内にイケメンにサンドされてました!




 もうそろそろ夕暮れですね。帰る時間も近いです。

「フミヤー!ちょっとこっち来てー!」

 何でしょうか?

「はーい!」

 ちょっと走りますか。


「何ですか?」

「記念に写真撮りましょう」

 おっ!それは!かなり古い型のカメラですね!やはり写真乾板ですか。

「いいですけど、シャッターは誰が?」

「そうね……すみませーん!ちょっといいですかー!」

 他の人に撮ってもらうのですね。


「はいいいですかー?撮りますよー?」

「フミヤ、もっとこっちに寄りなさい。ほら、リオンも」

「はい!」

「畏まりました」

 記念写真なんていつぶりですかね。何だか懐かしい気分です!

「せーのっ」

 おおっ、フラッシュは無いのですね。目に優しいカメラです。

「ありがとうございましたー」

 手を振っておきましょう!感謝を込めて!

「さて、船に乗るわよ。忘れ物は無い?」

「はい!」

「問題ありません」

「よし、それじゃあ乗りましょうか?」

 スロープを渡って船へ!もうこの島ともお別れなのですね。文屋ちょっとしょんぼり。


 あっ、警笛が鳴りました。本当にお別れですね……。

「ほら、フミヤ」

「え?」

「あそこあそこ」

 何でしょう?……あっ!皆さん見送ってくれています!よく見たら店長さんとヘルメスさんもいるではありませんか!

「ありがとうございましたーーーーーーっ!!!!」

 心の限りに叫びます!本当に!どうかお元気で!!

「フミヤ、少しいいですか?」

 うん?リオンさん?どうしたんでしょう?

「何ですか?」

「……今日も、一緒に寝ませんか?」

 ……雰囲気!タイミング!

「え、ええ。いいですよ?」

「ありがとうございます」

 もう……後でも良かったじゃないですか……別に今言わなくても……。

 ……皆さん。今日はここでカットします。すみません。ちょっと潮風が目に沁みたもので。

 それでは皆さん、良い夜を。

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