ミケネコさん
カゲトモ
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「っっっ、はぁぁぁぁぁ」
ガコン、とゴミ箱の蓋を閉めて大きく伸びをした。背中からゴキゴキと骨の鳴る音が聞こえる。相当凝っているのだろうか、肩甲骨を少し回しただけでも心地がいい。
「あー」
バーのマスター兼オーナーとしてだけでなくとも仕事に穴を開けるわけにはいかないし、体調管理も大切な仕事の一つだ。若い頃無茶して当時のオーナーに叱られてからは、自分の身体のケアも怠らないようにしている。今の自分の身体は自分のものだけではないのだから。
「近いうちにマッサージに行かないと」
「あたしがしてあげましょーか」
ぞわぞわ、と全身が粟立つ。耳元に暖かい息を吹きかけられたと同時に、身体が反射的にそこから飛び退こうと地面を蹴った。
「逃げないでっ」
「ギャッ!」
「何不細工な声出してんのよ」
「るっせぇ! 離せっ」
「こら、静かにしなさいって。何時か分かってんの、近所迷惑よ」
ぎゅっ、というよりガシッと肩を抱かれた俺は爪先を引きずるようにして裏の店に連行された。自分の店の裏にある、【ミケ】と言うスナックだ。
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