第46話 君(きみ)
久しぶりに見た君の姿に、僕は少し慌てていた
学生の頃と同じように、君は活発で輝いていた
止まっていた時計の針が再び動き出したかのように、
時間を超えて、あの頃の自分に戻っていた
君の髪に触れることさえ、心臓の鼓動に邪魔されてできなかった
僕は君に恋していた
高校を卒業してからの長い時間が僕を打ちのめして、
僕はもう君のことさえ思い出せない人間になっていた
あの頃から君の顔も、声も変わってしまっていたはずなのに、
君が君であることに気づかされた
時は僕から感受性のすべてを奪い去ってしまったのではなかった
君の姿は、僕の中の眠っていた心を呼び覚ました
そのことは、同時に、君に声をかけることすらできない僕をも蘇らせたようだ
僕は遠くから見ているだけで必死になっていた
時間を超えて、君はあの頃の君になっていたから
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