第26話 楽

まだ、よく見えてこない。

けど、確かな感覚として、ある。

後悔も、不安も、自己否定も、要らない。

捨ててしまう。

その方が、楽。

やってしまったことを悔やんでも、元には戻らない。

恥ずかしい思いをしたとしても、恥ずかしいと思い続けているのは、自分だけ。

自分を責めているのも、自分だけ。

自分を責めて、血まみれにしても、苦しいのは自分だけ。

だったら、捨てればいい。

どうせ、どこかで、やったことの報いは来る。

暗い顔をして、毎日恐れながら、その時が来るのを待つより、

笑顔で、毎日を気楽に過ごしつつ、いつの間にか報いを受け、それを受け流していた方がどんなに楽か。

誰かに傷つけられながら、殺されるかもしれにと恐れながら生きるより、

自分を信じ、人を信じ、楽しく生きて、ある日突然殺される方がいい。

どうして、という思いは残るかもしれない。

理解できないまま、死ぬのかもしれない。

でも、そこまでの間、家族や友人たちと楽しく過ごし、何も恐れることなく、その日を迎える方がいい。

苦しみや悩みや不安に苛まれながら、毎日を過ごすことに価値はない。

いずれ悲惨な結果が来るとしても、その日を静かに迎えられる方がいい。

大切なのは、今。

いい思いに包まれていること。

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