第16話 ふと思う

公園で空を見上げて、ふと思う。

悲しみや苦しみの中で死んだ人は、かわいそうなのだろうか。

その人の生きた価値はないのか。

生まれてこなければよかったのか。

死んでもなお、幸せにはなれないのか。

あなたは、どうだったのか。

今はもういないあなたは、どこで、どんな風にいるのだろう。

生きている僕と同じように生活しているのだろうか。

生活といっても、僕は今は生きているだけ。

食べる。

寝る。

空想に耽る。

それ以外は、覚えてさえいない。

この身体が存続していると言った方が当たっているかも。

心は、死んでいる。

そう言うと、あなたは怒るだろうか。

生きていた時のあなただったら、きっとそうだったろう。

今は、僕があなたを想っているだけ。

あなたの声は聞こえない。

僕は僕と語るしかない。

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