大人にも、ひとりになる空間が欲しい。
静かなカフェでもいい、バーでもいい。この主人公のように、賑やかなスナックの中でも静かに飲みたい。
人によって求めるものは違うのだろう。
その店の酒や料理が気に入ったり、内装が落ち着く、ソファの座り心地がいい、窓から覗く景色が綺麗、雰囲気がいい、その他、何がその店に通う決定打になるのかも、人それぞれだ。
そこでの思いもよらない非日常が、あるかも知れない。
ひょんなことから、孤独を感じなくてもよくなるのかも知れない。
パートナー、家族……ひとりではなくなる時が来たとしても、やはり、ひとりになれる場所があって欲しい。
気取っていない読みやすい文章の中にも、ハードボイルドな一面が隠れた格好良い短編です。
遠くから、ウィスキーのボトルを、またはギムレットを贈りたくなりました。