2年D組シリーズ

@karaokeoff0305

みんなで楽しく遠足に行きたい

私たちのクラスは、何故かいつも問題が起きる。

楽しく過ごしているはずの時間でも、必ずと言っていいほど問題が起きる。


「なんで私が金石さんと同じクラスなのよーふえーん…」


「やったぁ、また桐島君と一緒♡♡私たちって超ツイてる♡♡」



理由はよくあるなんというか―

好意のある異性の取り合いやら、こうしたい!という意見の対立やら。

何度も見てきた光景なのでもう慣れたが、時々無性に空しく思う時がある。



「次の遠足楽しみだねーッ」


「ねーッ」

と、楽しそうに笑い合う隣のクラスメイト達を見ていると、(何で私のクラスだけ…)という想いが胸を過る。女子同士のこういうのは仕方ないにしても、あまりに多過ぎではないか。何故私のクラスばかりこんな目に遭うのだろう。



「ちょっとちょっとお二人さん、喧嘩は、なっ・し☆

せっかくの楽しい遠足なんだから楽しくいこうぜ?お?」



隣のクラスは何故それなりに上手くやれているのか。

それはそのクラスのリーダー的ポジションの人の行動にあった。



「二人が喧嘩してるとこっちまで悲しくなるし?楽しくいこうぜ、楽しく」


いがみ合いが起きることを事前に察知し、大きな問題に発展する前に

解決に導く能力―それもさり気無く―その方法を習得している男・

吉田隆史の存在が、自クラスとの明暗を大きく分けたのだ。


「よっ吉田くんが言うなら仕方ないわね・・・」


「私も大人気なかったわ。ごめんなさい」



吉田君は、まぁまぁカッコ良かった。

勉強は中の下というところだったが、明るくムードメーカーで

同性からも異性からも人気があった。



(はぁ~私も一度で良いから楽しくみんなでご飯食べたいな~)



叶いそうにない夢を、ポツリ心の中で哀し気に呟く。

何でみんなすぐ喧嘩するんだろう。仲良くしようよ。

人によって考え方は違うから、争いが起きるのは仕方ないけど、

毎回嫌な思いをして遠足に行くのは嫌だなぁ・・・



「だいたい、クラスに何個も女子グループがあるのがおかしい」



私の居るクラスには、4つもの大きな女子グループがある。

リア充グループ、まぁまぁリア充グループ、普通グループ、

地味グループ。これだけあったら争いが起きるのは必然だろう。



「いっそ一つに統一すれば良いのにね」



2日前―級友である今本恵理子ことエリは呟くようにそう言った。

『ホント、その通りだよ』と深く相槌を打ったのを覚えている。



「統一は無理だとしても…自分らが上のグループに入れないからって下のグループをいじめるのはヤメて欲しいよね…ただの僻みでしかない…」


「ホント、とばっちりだよね。文句あるなら上のグループに行けば良いのにね」



ブイブイ、と口を尖らせながら苦情を並べ立てる。

そこで陰口を叩いている自分達のことは平気に棚に上げておきながら。



「あ~みんなで楽しくワイワイ遠足に行きたいな~」



私のクラスにも吉田君みたいな男の子が居たらなぁ。

頭の中でぼんやり、そんな事を想いながら私達は目の前のおにぎりをほうばった。

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