ふわふわ

高丈敏

第1話

掴めないのは 自分が自分じゃないから

宙に浮いた身体は二度と地上には戻れず

ただただ天の果てを目指す

雲の上のコントラストは白と群青の境で

砂浜を作り出していた

限りなく続く青の中で自分だけが異端

何色にも成れずふわふわと漂い

いつか消える日を待ち望む

ここが海なのか

それとも空なのか

どちらでも構わない

自分は広大な水の上を行く

地図を失った難破船なのか

割れるまで天へと昇り続ける

あわれな風船か

行き着く先が見えないのはどちらも同じ

魂のない器とてどこまで行けるだろうか

ふわふわ ふわふわ ふわふわ

消えて無くなるまで自分は浮き続ける

浮遊体

地上は見えない

眼下には青と白

目上には暗い紺色と小さな光の粒

そして意識は抜け

身体も燃え尽きて

最後に消え行く感覚で小さな痛みを感じ

なにも無くなる

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ふわふわ 高丈敏 @hiro-5001

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