最終話

「ウソだぁ。俺様が負けるはずがないんだ!」

 金髪の大柄の男の体が崩れ落ち、床を思い切り何度も叩いた。店長と呼ばれる男の悲鳴は、騒がしいゲームセンターの音を掻き消していく。

 紳士の男は、ゲームに負けた上司を無視して、俺の前で拍手した。

「高野チアキ様。おめでとうございます。今日からあなたがデスゲームセンターの店長になります。即ち、この聖域はあなたの物なのです。元店長の資産五百億円は全てチアキ様が相続……」

 事務的な紳士のセリフに怒りが爆発した俺は遮る。

「ウルサイ。そんなことはどうでもいいんだ。何度も言ってきたが、俺はこのクソみたいなゲームセンターを潰す!」

 俺の覚悟を聞き、紳士は爆笑する。

「まだそんなことを言っているのですか? こんな店を潰した所で、全国各地にデスゲームセンターは存在するんですよ。全てのデスゲームセンターを管理する会長を倒さない限り不可能です。ギリギリで元店長を倒した若造が勝てる相手じゃありませんよ」

 俺は紳士を睨み付け、男の胸倉を掴む。

「うるさい。俺は会長を倒す!」

 宣戦布告してから、俺はデスゲームセンターを飛び出した。その足で俺は墓参りに向かう。

 夕陽をバックに俺は墓の前で手を合わせた。ここに梨子と呼ばれる少女が眠っている。あのクソなゲームの所為で彼女は短い人生の幕を下ろした。

 こんなことがあってはいけない。これ以上被害者を増やさないためにも、俺は絶対にデスゲームセンターを全て潰さなければならない。

 俺は墓の下で眠る梨子に覚悟を伝え、墓場を後にした。

 翌日の放課後、俺の自宅の郵便受けに黒い封筒が入っていた。あの時と同じように、俺は封筒から手紙を引っ張り出す。

『全国各地のデスゲームセンターの店長を集めたトーナメントを開催します。優勝者は会長とゲームで遊ぶことができます』

 この時、俺は決めた。絶対にトーナメントで優勝して、会長を倒すと。



 

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