デスゲームセンター

山本正純

第1話

 デスゲームセンター。この施設のことを、俺が聞いたのは、高校の休み時間のことだった。スポーツ刈りの男子高校生のユウヤは、俺の机の前で謎の施設のことを話す。

「そう。デスゲームセンターっていうゲーセンを見つけたんだ。聞いたことがあるだろう。無料でゲーセンのゲーム遊び放題。おまけに大金が貰えるって話」

「そんな詐欺みたいな話があるわけがない。どうせ都市伝説だ」

 俺がそう反論するとユウヤは両手に腰を当て笑い始めた。

「実はその場所を知っているんだ。招待状が今朝届いた。そこに地図が書いてあった。ただ招待券を持っている本人しか入れないみたいなんだ。とりあえず、部活帰りに寄ってみるよ。明日になったら感想聞かせてやるぜ」

 ユウヤは右手の親指を立て、豪快に笑った。

 

 あの日以来、ユウヤは姿を消した。ユウヤの自宅にも行ってみたが、行方不明らしい。ユウヤの家族は警察に捜査を依頼したが、手がかりすら見つからない。

 俺の親友が行方不明になってから一週間が経過した日、俺は自宅の郵便受けを覗く。そこには差出人不明の黒色の封筒が入っていた。

 一体誰からだろうと思いながら、玄関先で封を開け、中に入っている手紙を引っ張り出した俺は、思わず目を見開いた。

『あなたはデスゲームセンターの会員に選ばれました。同封の地図を手がかりに遊びに来てください。尚会員様以外の同伴は認められません。同封の会員カードをお忘れなく』

 これは紛れもなくデスゲームセンターへの招待状だった。ここに行けばユウヤの居場所が分かるかもしれない。

 衝動的に思った俺は、封筒から茶色の会員カードと一枚の地図を握り、走り出す。


 二十分後、息切れをおこした俺は古ぼけたゲームセンターの前で立ち止まった。昭和レトロな雰囲気を漂わせる三階建てのゲームセンター。地図のよると、ここが問題のデスゲームセンターらしい。

 この街にこんなゲーセンがあったのかと感心しながら外観を見渡していると、一人の少女が俺の前を通り過ぎ、出入り口の自動ドアの前に立った。

 艶のある黒髪を腰の高さまで伸ばしたロングヘアーの紺色のセーラー服を見た低身長の少女は、背後を振り返り、無表情で俺の顔を見つめた。

 直後、自動ドアが開き、黒いスーツを着た紳士が少女の前で頭を下げる。

「ダイヤモンド会員の梨子様。お待ちしていました」

 梨子と呼ばれた少女は返事をすることなく、ゲームセンターに入った。

 その後で紳士は俺の存在に気が付き、俺の前まで足を進めた。

「失礼ですが、一般会員の高野チアキ様ですね。お待ちしていました。ようこそ、デスゲームセンターへ」

 そう言いながら紳士は俺の前に右手を差し出す。

 俺、高野チアキは何とかデスゲームセンターの敷地に入ることができた。この時、俺はここでユウヤ失踪の手がかりが掴めると信じて期待に胸を膨らませていた。

 しかし、これから行われるのは想像を絶する悪魔のゲームだったとは、この時の俺は知らなかった。

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