バイトの斉藤君

カゲトモ

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 カロン、扉を閉めた音が聞こえた。時計の針は午前一時十分を指している。

「おつかれさま」

 掃除用具を片付けているバイトに声を掛ける。小さなこのバーには、店主の俺と週に三日出勤してくれるバイトが一人しかいない。それくらいでも回るくらいの小さな店舗だ。

「おつかれさまです」

 ニッと笑ったバイトは、大学三回生の斉藤遼馬君。背が高くて、愛想が良くて、爽やかで格好良くて。最初の一つ以外は俺とは正反対の良いバイト君だ。斉藤君目当てに通っている客もいるくらいに。

 斉藤君は掃除用具を片付け終わると手を洗ってバーカウンターの前へと立った。

「ほ、本当に良いんですか?」

 躊躇いがちにそう言うので「あぁ」とだけ小さく答えてスツールへ促した。

「今日は斉藤君が来てくれて丁度二年になった記念日だから」

「ありがとうございますっ」

 へへ、と笑った。斉藤君は本当に可愛い奴だ。

「何でも好きなやつ言っていいよ」

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