転生召喚師の魔造獣
永遠の中級者
Prologue1 現世
太陽が照り付ける夏の昼下がり。
道を行く若者たちのほとんどはテスト後で早めに下校する高校生たちだろう。
高橋暮人もその一人である。
「テストどうだった?」
そう聞くのは、茶髪のサイドテールの少女、幼馴染の栗山 花音。
「…ある人は言った『幸運の女神は、準備万端でいる人のもとにだけ訪れる。』」
「それ最後は運任せだよね?」
「さぁな」
高橋暮人はこういう人間である。
誰かの言葉を胸に刻み、時に戒めとし、時にそれを基準に行動する。
考えようによっては自分の意思よりも、他人の価値観に身を任せているようにも思えるが、そうではない。
高橋暮人は先人を見習っているに過ぎないのである。
二人の進路の信号が青から赤へ変わろうとした時、それは来た。
かなりの速度で走る車が速度を落とすことなく曲がろうと突っ込んできた。
だが当然の如く、その車は曲がり切れずにスピンしてしまい、最悪なことにそのまま二人の前の歩道を歩いていた子連れの女性に向かって突っ込もうとしていた。
その時、気付くと俺は無意識に走り出していた。
すぐ近くだった事が幸いし、子どもと女性の下に車よりも先に辿り着き、勢い任せに二人を突き飛ばす。
なんで俺はこんな行動に出たのだろう…。
その答えは分かりそうにない。先人にも分かるまい。
子どもと女性は車の進行方向から逸れ、俺の身体は車にぶつかり、そのまま後ろの壁に衝突し押し潰される。
身体の前後から強烈な衝撃を受け、意識が飛ぶ。
その日、高橋暮人は事故に遭った。
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