勇者になったらLv0でした(泣)
気分屋p
第1話
親の脛をかじっての自堕落な生活。やはり悪くない。毎日の日課のTwitterにおはようと打ち込む仕事が終わり指を止めて、ふとそう思う。
「よっしゃ、行くか」
今日は久しぶりの外出。真夏の強い日差しが俺を照りつける。たしか、高校の入学式の5日後ぐらいから、1度も外に出ていなかった気がする。そんな超絶Neetの俺がなぜ外出をするのか。そんな理由は誰でも分かるだろう。それは、新作のゲームの発売日だからだ。今までは何とか通販でやってこれたが、今回ばっかりは秋葉原の店舗でしか売っていない。
「あぁ、キツイ、死にそう」
無意識に思わず言ってしまう。それもそのはず、運動はおろか、歩くことさえ拒否してきた俺にとって駅まで歩くことは自殺行為なのだ。あまりの暑さに喉が非常に乾く。
「おっしゃ、自販機発見!」
俺はつい走り出してしまっていた。走りたくないという気持ちより、喉を潤したいという欲求が勝っていた。自販機まであと少し、あぁこれで喉を潤せる。そう思った瞬間、横から自転車が突っ込んできた。
「あぶなっ!」
とっさに避け、体がよろける。体に力を入れ、踏ん張ろうとする。が、出来ずに車道に転がってしまう。横を見るとものすごいスピードで走ってくる車と青ざめた顔の運転手が見えた。ドンッ、強い衝撃が全身に伝わり、辺りが真っ暗になる。それで俺の人生は終わった。
はずだったのだが、なぜか俺は今正座をさせられている。何か天使っぽい奴も飛んでるし、何が起こったんだろう。
「そこのあなた。草壁裕太ですね?」
声のする方へ振り返ると、先ほどまではいなかったはずの所に綺麗な女の人が立っていた。
「は、はいそうですが.….」
「これからあなたに魔王を倒す任務を与えます。無事達成できたら願い事を1つ叶えてあげましょう」
「えっ」
これはまさか、夢にまで見た魔王討伐試練のっ!オタクの一人として受けないという選択肢はないっ!
「はい、是非やらせてください!」
「では、その世界について少しだけ説明しますね。1つ、その世界はレベル制になっています。簡単に言うと、レベルで出来ることが変わってきます。1つ、個人特有のスキルがあるということ。1つ、賭け事は絶対遵守される。あ、それと、このカードをお渡ししますね。これは、スキル以外の基本的な情報が書かれていて、お仕事などをするときに大切なので、なくさないでくださいね。大体こんな感じですかね」
「はぁ、」
「では、あちらの世界に飛ばしますね」
白い光が俺を包み込む。
「あ、ちょっと待ってください。俺のレベルっていくつなんですか?」
「えーと、普通の人なら20から30ぐらいなんですが.….」
「そんなに青ざめた顔して、どうしたんですか?」
「0です」
「えっ、ちょっとまっ、」
「それでは入ってらっしゃいませー」
「えぇーーー!」
目を覚ますと俺は、見知らぬ場所に立っていた。ただ、ほんの少しのお金と何と書かれているか分からないカードだけを持って。
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