紫電! ダブルエス

 島の地上。四角いメカをあっさりと倒すダブルエス。

 コックピットのライゾウは軽快けいかいだ。

「動きが軽いぜ」

 うなる足。って破壊していた。

 衝突の寸前に薄い光が発生し、やわらげられる衝撃。シーイー技術の応用だ。

 スミコとネネは指令室しれいしつに移動して、映像を見ている。

武器ぶきを使ってよ』

武器ぶき、あるのかよ?」

「使用時、部分的に変形するみたいだ」

 キヨカズは、コックピットに表示された文字を読んでいた。

 メカ担当のメバエがサポートする。

『データでは、右手にけん。左手に、銃の機能を確認』

『周りの敵以外に、反応なし』

『全力で倒そう』

 索敵担当さくてきたんとうのフユと、状況分析担当じょうきょうぶんせきたんとうのホノカも続く。

 トミイチたちも見ている。

 飛んでいる箱から、これまでとは違う敵が出てきた。


 地上に落ちた箱が変形する。

 四角いながらも、動物の意匠いしょうが入ったメカ。これまでの敵より素早い。

 オオカミのように見える。

 しかし、い灰色の巨人は、あっさりと倒していく。

「ビームブレード!」

 叫ぶライゾウ。シーイーブレードを使っていた。

 派手に爆発する敵のメカ。

「ビームキャノン!」

 さらに叫ぶライゾウ。飛んでいる箱には、シーイーキャノンを使う。

 もはや、誰もツッコまない。

 難なく勝利した。


 増援ぞうえんは来なかった。

 ダブルエスが地下に移動する。エレベーターが止まり、足場が自動で移動。

 格納庫かくのうこは、この日を想定して作ってあったらしい。

 天井に頭がぶつかることはなかった。

「これがあれば、タンデムいらないんじゃないか?」

「念のために必要だ」

 コックピットから降りた二人の意見は、別々だった。巨人は沈黙を返す。

 一同が指令室しれいしつに集まる。

「パイロットなの?」

「いえ。私は関係者ではないので」

 ミドリにつかまったトミイチは、苦笑いをしていた。

 追い払う様子はない。質問を受け、答えている。

「この扱いの差は、何なのかね」

「ぼやかない、ぼやかない」

 タカシはミツルをなぐさめていた。


「今日は、みんな、よくやってくれたわ。お疲れさま!」

「ちゃんと説明したんだろうな? スミコ」

 ライゾウの質問に、答えは返ってこなかった。

 指令室しれいしつをあとにして、なかば強引に地下の列車に乗せられる同級生たち。

 島から町へ戻る。四人以外が帰路についた。

 スミコは、ライゾウとキヨカズ、ネネを連れてどこかへ向かう。

「なんの用があるんだ?」

 着いたのは、ライゾウの家。


 居間いま。スミコは、ライゾウの両親に向かって話す。

「ご挨拶あいさつが遅れました。伝えておかなければならないことが、あります」

「結婚か? いいぞ」

「あら。そうなの? おめでとう」

「違う! 俺はいいけど、ほかの人にちょっかい出すのは、やめろよ」

 ライゾウは本気で怒っていた。

「実は――」

 スミコは、現在の状況について説明した。

 ネネも加わる。沈黙したライゾウとキヨカズ。

「いいぞ。ロボットでも何でも、乗ってこい」

 ライゾウの父親は即答した。

「ありがとうございます」

「おれの若い頃に比べたら、なんてことないさ」

「そうよね。私も若いころは」

 マサクニとシキホの過去に何があったのか。誰も知らなかった。

「もういいから。次いこうぜ。次」


 四人は、キヨカズの家にやってきた。

 スミコが状況を説明する。

駄目だめだ」

 キヨカズの父親は反対した。

「まだ、説明の途中じゃないか。まずは聞いて――」

「ほかに動かせる人がいるなら、お前でなくても」

「最初は、僕もそう思った。でも、違うんだ」

「違う?」

「僕が、町を守りたいんだ」

 キヨカズは言い切った。

 優しい笑みを浮かべている、キヨカズの母親。

 四人で説明した。そして。

「分かった」

「そう言うと思った」

 ヒデハルのあとにルリが続く。

 両親が認め、二人は、ロボットに乗り続ける許可を得た。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る