第18話 主人公は天然たらしです

「お~い、アヤト~。」


ミリアちゃんと中央広場に来ていた僕にそんな声がかけられた。

見ると、いつもの三人組だ。


僕が手を振って応えると、三人組はこちらに近づいてくる。

すると、僕の服が後ろに引っ張られたように感じた。

不思議に思った僕が後ろを見ると、

ミリアちゃんが僕の服をつかんで、三人から身を隠そうとしていた。


かわいい……

軽く我を失っていると。


「ところでそっちは?」


アレフが僕の後ろを指差して言う。


「こっちはフリッツさんのところのミリアちゃん。」


「フリッツさん?あー、たまにみかける、むしょくのひと。」


ふっ、ふふっ、フリッツさんって、ククッそう思われていたのかぁぁアハハハハ。

ふぅ、そういえばあの店は本当は五歳まで入っちゃダメなんだったっけ。

そりゃ、子供からは仕事が無いように見えるか。


「おれはアレフ、こっちがビートで、そっちはギーム。

よろしく、ミリアちゃん。」

「よろしく。」

「……zzz。」


「……よ…よろ…しく。」


こう挨拶をかわしたところで、


ズビシッ

アレフがギームの頭をはたいた。


「ぼくは、あいてがおんなのこでも、てかげんしないよ。

……ハッ、……びしょうじょきし とのけっとうは?」


「「「しらねーよ。」」」


続けて僕は言う。


「けっとうなんかじゃなくて、

まずは『こっちのびしょうじょ』にあいさつしてよ、ギーム。」


すると、


「「ははーん。」」


「なっ、なんだよ。」


アレフとビートは何か理解したとでも言いたげな顔をするし、


「zzz……」


ギームはまた寝るし、


「び…びしょ…うじょ……~~。」


ミリアちゃんは悶え始める。


なんなんだ?この反応は。

てかギーム、寝るなっ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、これからどうする?」


アレフがそう言い、

全員で悩み始める。

ミリアちゃんも含めて。


恥ずかしがり屋のミリアちゃんは初対面の三人がいるのに大丈夫かって?

僕も心配で尋ねたよ。そうしたら、


「ア…ヤト…くんと、いっ…しょなら。」


本人がそう言うんだから多分大丈夫だろう。

なお、このやりとりの間、アレフとビートは生暖かい目でこちらを見ていた。

本当に、なんなんだ?


ミリアちゃんのことを考えてふと思いついた。


「そうだ、ミリアちゃんはむらのことあんまりしらないから(……おもにフリッツさんのせいで)、

みんなでむらをまわるのはどう?」


「「いいね。」」

「……zzz。」

コクリ。


みんなが肯定の返事をしてくれたのでこれで決まりだ。

そうしてまずは例の八百屋と肉屋の方に向かうのであった。


「フリッツさんのせいでって?」


ビートに聞かれてたっ。

というか声に出てたっ。

ミリアちゃんの手前、僕は適当に取り繕っておくのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る