第10話 おつかいは楽しいです1

アルヴ草原から帰ってきて……父は早速自分の部屋に引きこもった。

……ガサガサ……ガチャガチャ……

……ガンッ……ドォーン

大丈夫なのか?あれ。


「アヤトは心配しなくてもいいんですよ。あの人の自業自得ですし。……まあ、本当に駄目だったら手伝ってあげますから。」


そう言うと母は台所に向かって行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「行ってきまーす。」


次の日の朝。

目の下にくまを作った父が両手に大きな荷物を持って出ていった。

どうやら準備はなんとか間に合ったらしい。

母に聞くと今日から五日間、魔法研究者達の大きな集会があるそうだ。


父は馬車に乗り込んで……って、馬に角生えてる。まさかあれはユニコーン?


「アヤトは見たことがなかったかしら。あれはホーンシュヴァルよ。足が速くて体力もあるから、よく長距離の移動に使われるのよ。」


そう言って、母は出発した馬車に手を振る。


「いってらっしゃい。」




馬車が見えなくなると、母は言った。


「今日はおつかいを頼もうかしら。」


~~~~~~~~~

はじめてのおつかい

~~~~~~~~~


来た~~


「帰りでいいからレグムさんのところで、この野菜を買ってきてね。今日は一日村で遊んできなさい。」


「わかった~」


僕は、メモと千ミラ程のお金とお弁当が入ったかごを受け取った。

クエスト来たー。ただのおつかいだけど。やっぱりこういうのはゲーム感覚で楽しまなきゃね。

そう考えながら僕は村へ繰り出した。


そういえば、朝から母の顔が少し赤かったけど大丈夫かな?風邪かな?帰ったら聞いてみよう。


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十ミニ程歩いて、村へ来た僕は早速……


→いどう

 きゅうけい

 もちもの

 きたく




どこへいどうする?

 ちゅうおうひろば

 レグムさんの やおや

 ヴィアンさんの にくや

 デイバーさんの ざっかや

→フリッツさんの まどうぐや




店の前でフリッツさんが現れた。


どうする?

 たたかう

 はなしかける

 もちもの

→さくせん


どのさくせんをつかう?

→フェイント

 せっとく

 にげる



アヤトはフェイントを使った。

しかし回り込まれてしまった。


「アヤト坊ちゃん、さすがに一人でここに入るのはいかんよ。」


「なんでですか?」


「いや、だから五歳までは駄目だっていう決まりが……」


「でも、このあいだは……」


「それはメアリーさんがいたから歯止めがきくと思ったからだよ。

坊ちゃんもあんな顔してたし、オスカーには世話になってるしな。

あん時限りのサ-ビスだ。」


「じゃあ、フリッツさんがぼくをみていれば……」


「俺も魔導具大好きだからな。坊ちゃんを止める自信が無い。」


フリッツさん……魔導具店の主人としてはそれでいいのか……?


「でも……」


「だぁぁ、駄目だ駄目だ。うちが販売禁止処分受けたらかなわん。」


~~

~~


「……」


そんな風にフリッツさんとしゃべっていると、誰かが店の戸口からこちらの様子をうかがっていた。

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