第10話 『ぶすせん!』
<概要>
どブスな女性が主人公。だが巨乳なので、会社では、おっぱいばかり見られ、暴言を吐かれ、セクハラされる毎日。ある日、会社のオヤジに飲みに誘われ襲われる。自殺しようと決意したが、偶然目にしたストリートミュージシャンに恋をしてしまったから、さぁ大変! はてさて恋の結末は!?
<あらすじ>
『太椙子』 (ふとり すぎこ)は、22歳のOLで、超ブサイクだった。
なんというか、なんとなくブスではなく、壊滅的にブスであった。体型は中肉中背で悪くもなく、街中で道行く人からすると、一見、見返り美人とも言えなくもなく、グラマラスに見えなくもないが、結局ただのブスであった。それでも彼女のお胸は超巨乳(Sカップ)であった為、フェチな男性からは卑猥でエロい視線を浴びせられつつも、実生活は幸薄い毎日を送っているのだった。
それでも、整形していつかは美人になって玉の輿に乗ってやるという野望をデカパイ胸に秘めていた。整形資金を貯金していたが安月給の雀の涙。とても足りないのでギャンブルで一攫千金を目指す。パチンコスロット競輪競馬競艇、賭け麻雀に闇カジノまで手を出す始末。簡単に勝てる訳もなく借金は500万円を超え雪だるま式に増殖中。実家は抵当に入れられ両親は離婚。絵に描いたような不幸な道を歩む。
そんな時、椙子の頭の中に神の啓示を授かる。
『ぶすせん』(ブス専用)のスナックかバーをやれば、ニッチな客に受けるのではないか?
借金のある人ほど飲食業で儲けられるかもという甘い考えが幸い(災い?)し、さらに借金を闇金から借りて店を経営する。それがなんと大当たり。常連客も増え、店の規模も従業員も儲けも大きくなっていった。だがしかし、店の従業員とボーイがデキて店の乗っ取りを計画。金庫から金を持ち逃げされ従業員も引き抜かれてしまった。椙子は金の管理が出来ないので、一番信頼している従業員に全てを任せていたのだった。
その後、全てを失い、もともと人間を信じていなかった椙子はさらに人間不信に。酒タバコ遂にはドラッグにまで手を染めジャンキーとなる。ヤケクソになって整形手術をするが、安い金額のイカサマクリニックを掴まされ手術は失敗。後遺症で顔面神経痛となり、ますます椙子は妖怪変化と化す。そんな時、運命の出会いが起こってしまったのは運命のいたずらか。駅前の高架下でアンパン(シンナー)でラリっていた時、偶然目にしたストリートミュージシャンに恋をしてしまったから、さぁ大変! ろれつは回らず目の焦点も定まらないままいきなり恋の告白をしたから、これまたさぁ大変! 当然、驚いたストリートミュージシャンは逃げながら警察に通報。ついに椙子はお縄となった。薬物所持と恫喝の容疑で逮捕された椙子の明日は一体どうなってしまうのだろうか……?
それから10年後。
椙子は、モデルのような超美人でグラマラスな女性に生まれ変わっていた。結婚した相手はIT会社の社長で年商100億。子宝にも恵まれ順風満帆な人生を送っていた。しかも、街中でスカウトされ歌のうまさも手伝って今や国民的大スターに登りつめて行った。その人気度から政界からも声が掛かり、トップ当選を果たし大臣にまで昇格。すべてにおいて勝ち組となった彼女の人生は、今までの辛い人生をあきらめずに生きてきた希望の結晶と言っても過言ではないだろう。私達は皆、椙子を見習い、模範とするべきなのだ。
……というような妄想をしながら、六畳一間の小汚いアパートの一室で、ワンカップをすすりながら泥酔している椙子の姿があった。そして、それが彼女の最後の夜となり、睡眠薬を過剰に摂取して、人生の眠りにつくことになる。 おわり
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