第4話
帰りたい。
帰りたいうるさい。帰りたいうるさい帰りたいうるさい帰りたい帰りたいだってうるさいって帰りたいのってうるさい。うるせー。
帰らせて。うるさいうるさいうるさいうるせー。帰りたい。帰りたいんですけれど逆接。
うるさいなぁ誰かを嘲笑う全てが分からない。同じ言葉を繰り返して。君それしか言えないのか。ぺちゃくちゃぺちゃくちゃと。ぺちゃくちゃくちゃくちゃぺぺちゃぺっちゃぺちゃくちゃぺちちちちゃっと。何となくして。これほどうるさいんです。
あたしは気にしちゃってでも気にしますよね。人間として基本的に、いや別に人生論以前に当たり前に日常会話的に音が鳴ったら意識が傾くしかないよね。こういうことを言うんだって人間ならそうでしょ。何ですかこのことすら考えたことないんですかっ。うるさいからじゃないですか。うるさいので帰りたい。
うるさいといって視線もうるさい。ちろちろあたしを見る視線があるようにごたごた移動すると。自分の仕事に集中して親睦の亀裂を深めなさい。うるささをバリアする耳栓と首の角度が必ず要るんだ。そのせいで姿勢悪いし腕もげそうだし。突っ伏してタップするから血管あっぷっぷだし。帰りたい。帰らせたまふことやは。通路で動き回らんな。机にぶつかんな。席で立ち止まんな。あたしを見んな。みーんな退出してくれんかな。
音量の無駄遣いに励む音。それを僻みとか言うだろう君が想像できてうるさい。段階が違う言葉がどうして頭で響いてしまってうるせーうるせーうるせーうるせー。
うるさい。耳の内部で色んな声が。頭木板に打ち付けた。
うるさい。存在が逐一。うるせーうるせーうるせーうるさいーなーこの場所はー。
死ね。
帰りたい。帰りたい電車帰りたい電車帰りたい電車帰りたい電車帰りたい電車。がたごと歩いて家まで一人で。
帰らせろって、何回も言ってんでしょ!!
うるさい。って叫ばせて。
何でこんなとこ来なくちゃいけないのですか。
ここに行かせるな。あたしの生涯に関係ないですか。気にしないことなんてできないよ。少しもあたしの為にならない。楽しさなんて形に残らない。大体楽しくない。
帰ったら何があったのと心配され。もっと別のこと心配して。さぼったら怒られる。怒るべきなのはあたしじゃなくても。
こんな場所あたしじゃない。あたしだけの場所で自由したい。外は動きにくい。人と関わらない。
ここは何の為ですか。帰っていいですか。帰りましょう帰るぞ。帰らないと仕方ないだろ。机叩いてうるささ仕返しして帰ってやろうか。
帰れ。帰れあたし。帰りたいと思うから今。からの後が繋がらなくて行方不明なのは今ここであたしがどうするか。この貧乏揺すりと窮屈な個室を続けられるか。ならばここを辞めるかどうか。迷い迷って先延ばしにするあたしが座っている。
だけどそのうるささから特報が入った。
午後の業務は、休んでいいって。
やったぁ帰ろ。
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