ばけものガール
トドロキ
プロローグ
まっしろなよる
子供が、泣いている。
一人ぼっちで立ちすくむ子供が、両手で頭を押さえ、声をあげて泣いている。
彼女は、額がえぐれるような痛みに涙しているのだ。額を押さえつけた手の中には、白く、固い、角が芽生えている。
見えなくてもわかる。彼女は自分自身なのだから。
鬼病が発症した時の痛みを、みくるは鮮明に覚えていた。角は、骨と肉と皮を食い破って内側から生えるのだ。幼女にとっては耐え難い苦痛である。
でも、泣いているのは、痛みのせいだけではないことも知っている。
彼女が何より悲しかったのは、泣いている自分のそばに、慰めるものが誰もいないということだった。
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