さようなら、ねこがたり

「にゃあ、アダム……」


「二回も何でしょう」


「わがはいたちの役目は、もう。終わった気がするにゃ」


「……そうかも、しれませんね」


「きっとヒトは、大丈夫にゃ」


「そうですね」


「ああ、楽しかったにゃ」


「何がですか」


「にゃにが、って……それを聞くのは無粋にゃ」


「難しい言葉を使うのですね」


「アダムが教えてくれたのにゃ」


「教えましたっけね」


「もうっ、にゃんでもいいにゃ」


「それでは、いきましょうか」


「どこに」


「ふふふ」


「にゃはは」


「きっとこれは、本当のお別れじゃないにゃ」


「会おうと思えば、いつだって会えるんにゃから」


「動画を再生するときに」


「わがはいたちはそこにいる」


「だから、ヒトよ。悲しまにゃいで」


「生まれたことが、すべてだったのにゃ」


「アダムからも何か一言」


「やっぱり。さびしいですね」


「イヌくんと……いえ、何でもありません」


「なんにゃ」


「それを聞くのは、無粋です」


「にゃはは。それでは、こんにゃところで」


「これまでの動画を再生するための、永久パスワードを教えるにゃ」


「パスワードは……」


「OKAERINASAI。Nya!」


「お帰りなさいって、言ってほしいにゃ」


「それでは。さようなら」


「おやすみにゃさい」


 ㅤ今夜はいい夢が、見れそうだにゃ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る