無粋

「今日はとても楽しかったわね」


「ああ」


「人の暮らしが、毎日こんなふうだったらいいのにな」


「僕もそう思うよ」


「だけどきっと、これからも色々なことがあるでしょうね」


「うん……だけど、今も未来も変えられるって、アダムとイヌが教えてくれた」


「過去は変えられないけどね」


「いや。そうとも言えないかもしれない。今の僕らは、まるで過去に帰った人間のようだ」


「どういうこと?」


「ロボットの時代が始まるかもしれなかったのに、アダムとイヌは、もう一度ヒトが来ることを迎え入れてくれた。リスタートなんだよ、僕たちも」


「そうね。素敵な時代を、築かなきゃ」


「ベリ子」


「エース」


「愛してる?」


「愛してる」




「これで、よかったのかにゃ」


「この未来のために、ワタクシたちがいたのだと思います」


「なら、よかったにゃ」


「それにしても、ダンボールの中は意外と気持ちいいのですね。この前は気づきませんでした」


「物は使いようだにゃ。遊び心があれば、にゃんとかにゃるにゃ」


「ではそろそろ、帰りましょうか」


「すでに気づかれて、手を振られているからにゃ」


「星がにじんで、消えてしまう前に」


「ふみゃ?」


「我々もいきましょう」


「またポエムかにゃ。どういう意味にゃ」


「それを聞くのは、無粋ぶすいです」


「ブスい? ㅤブスいってなんにゃ」


「聞くのではなく、感じてください」


いきなことを言うにゃあ」


「本当は、理解しているのではないでしょうか……」

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