ねこがたり 野球編3

「見よ!ㅤこれが、にゃんだーはんど投法にゃ!」


エース「うおっ。確かに打ちづらい」


「ワタクシでも、簡単には打てませんっ」


 ㅤ試合は、0対0のこう着状態。それでも、初めて大人数でやる野球は新鮮で。わがはいとアダム以外のヒトたちも、きっと楽しんでいたと思うにゃ。

 ㅤそして迎えた9回表。わがはいチームの攻撃。ツーアウトから、連続フォアボールでランナー満塁になって、わがはいの打席を迎えたにゃ。


「さすがに、ベリ子さんに疲れが見えます。ここは、イヌくんを抑える確率100パーセントの、ワタクシが行きましょう」


エース「じゃあ僕がキャッチャーをやろう」


「誰がこようと、一緒だにゃ……」


 ㅤ正直珍しく、ビビっていたにゃ。いつもにゃら、打ってもアダムに捕られることなんて考えないで、棒を振ることはできるにゃに。


エース「ツーストライクだよ」


 ㅤ全ての足が、震えるにゃ。全く身動き取れなくなったにゃ。そんなときにゃった。左から、前から、右から。そして、花畑の向こうから。ヒトの声が、聞こえたにゃ。


「thaeniowsahimou!」


 ㅤひとりじゃないにゃ。ふたりでもないにゃ。今のわがはいには、チームがある。負けたくない、ではにゃい。勝ちたいんにゃ! ㅤみんなのために。


 ㅤ気づくとわがはいは、棒を思いきり振るのではなく、差し出すように。アダムの球に、コツンと合わせたにゃ。

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