ねこがたり 野球編2

 ㅤわがはいはネコである。名前はイヌ。


 ㅤこれまで、アダムに野球で勝ったことがない。


「ピッチャーは、ベリ子さんお願いします」


ベリ子「え、私?」


「どんな球を投げられても、必ず受け止めます」


 ㅤ何。アダムがピッチャーでないだと。ふざけやがって。わがはいに気を遣っているのか?ㅤまともにヒットを打ったことがないからって。


ベリ子「イヌくん、いっくよー」


 ㅤ猫なで声を出しやがって。初球を打ち返してやる。


「ふんっ!」


「ストライク! ㅤです」


 ㅤ何だ今の球は。こいつ、宇宙でどんな鍛え方したらこんな球が投げられるんだ。

 ㅤチクショウ。それでも当てに行くなんてしたくない。フルスイングの、ホームランで応えてやる!


「ストライク、バッターアウト!ㅤです」


 ㅤちっ。しかし軌道は見切ったにゃ。次の打席をふるえて待つにゃ。今度会うときのわがはいはきっと別人だにゃ。いや、別イヌ……別ネコ。別ロボ。せいぜい首を長くして、アダム特製の水で洗って待って、


「イヌくん。ぶつぶつ言ってないで、早く打席から外れてください」


 ㅤはい。にゃ。

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