第60話 ★★★主要参考文献(参考要素付き)★★★

過日、芥川賞候補の某作品が参考文献を明示していないとかなんとかで騒動になっていました。そのせいかどうか結局惜しくも受賞を逃してしまいましたが。

本作品にはそんな話題性は皆無ですが、多くの参考文献があることによって書くことができる作品であることは確かです。

元々、作品紹介文の続きを読むをクリックしたところに主要参考文献の一部を明示していたのですが(今は消した)、実際のところ気付かない読者の方もいらっしゃいました。また、主要なものだけでなくもっと多くの参考文献を提示してほしいという意見もありました。

自分的にも、どの参考文献からどういったことを引用したんだったっけ、と、ごっちゃになってきた部分もあるので、自分的メモの意味も含めて、把握できる限りの参考文献と、どういった要素を参考にしたかのメモを記しておきたいと思います。あくまでも現時点で、であり、今後随時追記していきたいと思います。順不同です。

多少、ネタバレ的要素も含むかもですが、ストーリー的に致命的なネタバレは回避しておきます。なので、全ての参考文献を提示しているわけでもなく、また、全ての参考要素をメモしているわけでもありませんのでご了承ください。

『旧唐書』『新唐書』『法苑珠林』などの原文史料については、下には記載していません。書籍を入手すること自体が困難なのでネット閲覧です。

参考文献なぞ、そんなもん見る必要無いわ、という方は、そのまま下にスクロールおねがいします。




●『謎のチベット文明―密教王国・世紀の大発見』PHP研究所


劉仁楷、劉嘉賓、王令敏、賀守一の名前はここから。賀守一の書法が北朝風であることなど、多くの情報をこの本に拠っている。本作品における最重要参考文献です。


●『NHK大黄河1~5』日本放送出版協会


黄河流域のイメージはここから。一行が連れている馬、駱駝の数は、この本に書いてあった内容を参考にして決めました。


●『シルクロード往来人物事典』昭和堂


名前が出てくる人物の大半について情報が纏められているので重宝。どの資料に出てくるかが明記してあるのが良い。


●『チベット仏教王伝――ソンツェン・ガンポ物語』岩波文庫


文成公主が占いをする設定。冒険の舞台がチベットに入ったら参考要素も増えます。


●『長安』講談社学術文庫

●『唐両京城坊攷―長安と洛陽』平凡社東洋文庫


上記は、冒頭に出てくる順天門は、618年に順天門という名前になり、705年に承天門に改称されている、という情報など、長安に関する諸々を調べるのに使う。


●『極東の三大芸術』丙午出版社

●『世界の歴史〈10〉西域』河出文庫


上記は、王玄策の天竺行にかんする動きをまとめる上で参考にした。


●『大唐西域求法高僧伝』岩波書店


彼岸法師が海路で天竺を目指す、云々の箇所は、義浄のこの著作から。


●『魏晋南北朝』講談社学術文庫


賀守一のところで出てきた北魏についての概説を参考にした。北魏の有力者に賀氏がいた、という情報から、北朝風の書法を継承している賀守一は北魏有力者の賀氏の子孫であるという設定を創作しました。


●『唐代の国際関係』山川出版社


勅勒の歌に関しての記述を参考にした。


●『中国文明の歴史〈5〉隋唐世界帝国』中公文庫

●『隋唐帝国』講談社学術文庫

●『世界の歴史〈6〉隋唐帝国と古代朝鮮』中公文庫

●『世界の歴史〈7〉大唐帝国』河出文庫

●『興亡の世界史 シルクロードと唐帝国』講談社学術文庫

●『長安の春』平凡社東洋文庫


上記、文庫の概説書と『長安の春』は、隋唐時代に関する基礎知識を養うための血肉となった。


●『三蔵法師』中公文庫

●『玄奘三蔵』岩波新書

●『玄奘三蔵のシルクロード 中国編』東方出版


上記では、玄奘の身長に関する考察など、玄奘に関する基礎知識を掴むのに使用した。


●『高僧伝1~4』岩波文庫


宋の連眉禅師の曇摩蜜多、師子国の鉄薩羅、仏図澄などについて記述されている。


●『ここから始める書道入門』ナツメ社

●『「書道」の教科書』実業之日本社

●『書道藝術別巻第3中国書道史』中央公論社

●『書道全集 (第6巻) 中国南北朝2』平凡社

●『書道全集 (第7巻) 中国隋唐1』平凡社


上記の書籍は、賀守一の書法シーンを描く時に参考にしました。全部地元の図書館で閲覧しました。


●『ネパールの歴史 対インド関係を中心に』勁草書房


インド、ネパール、チベットへの交易品の流れを参考にした。文成公主が示した一八の宝物の一八という数字はここから拾った。


●『新・歴史群像シリーズ18大唐帝国』学習研究社


いわゆるムック本ですが、甘く見てはいけない。登場人物の軍装についてイラストが参考になった。他、地図が豊富で西域やインドの地理感覚を掴むのに有用。


●『図説中国文明史 (6) 隋・唐 開かれた文明』創元社


建物の屋根に載っているシャチホコみたいなのを鴟尾というなど、写真や図が豊富で小ネタ的な部分の収集に役に立つ。


●『南アジアを知る事典』平凡社


ティーラブクティの位置について知見を得た。


●『大唐西域記1~3』平凡社東洋文庫


チーナブクティについて、など。当たり前ですが、玄奘による地誌で、西域やインドに関する最大の資料です。


●『玄奘三蔵 西域・インド紀行』講談社学術文庫


これは『大唐西域記』の姉妹書ともいうべき、『大唐大慈恩寺三蔵法師伝』の前半部分の和訳です。いわゆる『慈恩伝』で、玄奘の伝記。


●『新国訳大蔵経 中国撰述部〈1‐3〉史伝部続高僧伝(1)』大蔵出版


僧法に関することはこの本の記述による。他に、波羅頗迦羅蜜多羅や玄奘に関する記載もある。


●『岩波 仏教辞典』岩波書店


仏教に関する用語、梵語に関しては頼りにしています。


●『隋唐演義』中公文庫


田中芳樹先生の翻訳。花木蘭について。ただしあまり大活躍していません。花木蘭の活躍を見たいんだったら田中芳樹先生の小説『風よ、万里を翔けよ』でも読んだ方がいいですね。


●『杜甫全詩訳注』講談社学術文庫


杜甫なので時代はズレるが、賭博のチョボについて。他、黄河流域の地形描写や、動物に関する描写が多いので参考にした。


●『騎馬民族史1~3』平凡社東洋文庫


鮮卑、突厥、吐蕃などに関する正史列伝の和訳。


●『法顕伝・宋雲行紀』平凡社東洋文庫


皇帝からの密命のアレに関する記述がある。


●『チベットの報告1・2』平凡社東洋文庫

●『チベット旅行記 上・下』講談社学術文庫

●『チベット――全チベット文化圏完全ガイド』旅行人編集部

●『図説チベット歴史紀行』河出書房新社

●『天梯のくにチベットは今』平凡社

●『茶馬古道の旅 中国のティーロードを訪ねて』淡交社


上記は、チベットの地理や気候などを把握するための資料となった。


●『ネパール全史』明石書店

●『古代インド』講談社学術文庫


上記はネパールに関しての資料。古代インドというタイトルだけどネパールに関する記述が役に立った。逆に言えばインドについての記述はヴァルダナ王朝以前のことばかりなのであまり役に立てられませんでしたすいません。


●『原典訳 原始仏典』ちくま学芸文庫


下巻にナーガーナンダを収録しているので、ハルシャ王時代のインドの様子を知ることができる、大勝利! と思ったけど、そこまで大勝利ではなかったかもしれない。


●『インド佛跡巡禮』東方出版


インドの仏教に関する旧跡の地理等。


●『図説 民居―イラストで見る中国の伝統住居』東方書店


漢民族の四合院やヤオトンだけでなく、チベットなど他の民族の住居も図入りで細かいパーツの名称も記載されていてなまら重宝する。


●『唐詩選 前・中・後』岩波文庫

●『酉陽雑俎1~5』平凡社東洋文庫


唐についての感覚を掴むには、まずはなんといっても唐詩選じゃないかと。またどちらも小ネタ拾いには最適かも。




他にもあるかとは思いますし、今後も新しく資料を入手することもあろうかとは思いますが、随時追記したいと思います。

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