旅中模索〜誰も知らない旅〜

悠莉

第1話

「ここの肉旨いなー!」

と元気に話すファイ

「本当!!さっすが特産物!国に戻ったら絶対食べられないわよ!!」

そう言って興奮ぎみに話すのがミシャ

「ほら、あんたも食べて少しは男らしくなんなさい!」

「あ、ありがとうございます」

おどおどしてるのがチェロ

「なあなあ、おかわりしていいか?」

「ダメだ!ってか、そろそろ出るぞ。今夜の宿、探さないと」

そんな風にお母さんみたいな事を言うのがシド

こんな四人と私は一緒に旅をしている

「ん?おい、ロミール食ってるか?」

「うん、食べてるよ〜このお肉おいしいね〜」

私がそう笑うとみんな優しく笑ってくれる。だから、この旅を続けられる。

あれ?そもそもなんで旅してるんだっけ?

「ロミール、そろそろ行くぞ!」

「え?あ、うん」

ファイに言われてテーブルを見るとお皿は全部空。みんな食べるの早いな〜。

「ったく、いつもボーッとしてて心配だぞ。俺たちは王国の騎士団なんだからシャキッとしろ!」

そう言ってファイは怒りながら手を差し伸べてくれる。一番体力のない私を気遣ってくれているのかな?

「ありがとう」

と小さく言ってその手を取った。旅の目的は、宿についてからミシャに聞こう♪


「はぁ〜、つっかれた〜」

そう言ってミシャはベッドに倒れこんだ

「おつかれさま〜」

私もベッドに座る。ベッドなんていつぶりだろう? 最近は野宿ばかりだったからな〜

「あ、そうだ。ミシャ、今の旅の目的って何だっけ?」

「はぁ、また忘れたの!?

そう言ってミシャは怒った。

「もー、何回目よ!だいたいそう言うことはファイに聞いてよね!あれでも一応リーダーなんだから」

「だ、だってファイに聞くの怖いし、こういうことはミシャにしか頼れないよ・・・」

私がそういうとミシャは一瞬嬉しそうな顔をしたがすぐに戻り

「・・ま、まあそう言うならいいんじゃない?仕方ない。じゃあ長くなるけどいいね」

「うん、ありがとう!」)

良かった〜、ミシャは優しいな〜

「えっと、確か世界征服を果たすための何かをとってこいって言われて旅してるのよ」

「何かって、何だっけ?」

「王様も分からないんだって!無茶言うよね〜」

「そっか・・・」

そんな時、いきなり『バーン!!』と音がしてファイが入ってきた。

「有力な情報を手に入れたぜ!!」

入ってくるなりファイは自信満々な顔でそう言った。

「ちょっと!乙女の部屋にノックなしで入って来ないでよ!非常識よ!」

「乙女・・・?」

ファイはそう言って後ろにいた男子二人を見る。二人とも困った顔をした。

「ミシャはともかくロミールは乙女だ。」

シドが冷静にそう言った。

「それもそうか。ロミールすまない。」

「ううん。いいよ〜」

「ちょっと!私は!?」

「え、えっと、お、乙女 というより、その、姉貴では・・・」

「失礼ねー!」

コントをしているような三人をみてシドと一緒に笑う。この旅の目的がわからなくなってくる・・・

「ってそうじゃない!?有力な情報を手に入れたんだ!誰か聞いてくれ!」

「誰かでいいのか?全員聞かないと思うぞ。」

「それは困る!」

また、コントみたいになってる・・・。大丈夫だよ。ファイ、私は聞くよ。

「お、でもロミールは聞いてくれそうだ!」

私の心の声が聞こえたのかファイはそう言って頭を撫でてきた。嬉しいけど子供扱いされてるみたいでちょと悔しいな・・・。

「そういえば、ファイ話があったんじゃなかったけ?何だったの?」

「みんな聞いてくれるのか!!俺は嬉しいぞ!」

ミシャの言葉に感激しているファイ。やっぱりこのメンバーでいるのは楽しいな。

「はいはい、分かったから早く話してよ」

ミシャって冷たいよね・・・でも、くじけないファイもすごいや。

「おう!まかせろ!実は三人で男風呂に入ったんだが、途中でチェロがとめられて・・・」

「もう!そんなのどうでもいいから!有力な情報ってのは?」

「ああ、その風呂で聞いた話の中にペトル村の昔話があったんだけどな!その話が凄く面白くて!」

「その昔話の中に俺たちが探し求めいるものと思われる言い伝えがあったんだ」

ファイの話をさえぎってシドが話してくれた。ファイは少し落ち込んでたからよしよししてあげた。

「じゃあ、明日からそのペトル村に向かうってことでいいの?リーダー。」

ミシャがそう言ったとたんファイは目をキラキラさせた。『リーダー』って言われたのが嬉しかったみたい。分かりやすいな〜

「おう!そう言うことだ!二人とも早く寝るんだぞ!」

そう言ってファイは出て行ってしまった。

「あ、あいつ言うだけ言って帰りやがった〜」

「本当に騒がしい人ですみません」

残された二人はそんなの扉を見た。

「まぁ、いつものことだし、ねぇ、ロミール」

「うん、そうだね〜。それにファイはいつも面白いからいいや〜」

「いや、面白ければいいわけじゃないだろ」

「ロミールさんらしいですけどね。」

そうチェロが言うどみんなが笑った。つられて私も笑う。なんかこう言うの楽しくていいな。

「じゃ、俺たちもこの辺で」

「明日は八時にはここを出るそうです」

「ん、ありがと!」

「二人ともおやすみ〜」

そう言うことだ二人を見送った。

「う〜ん、ファイの八時ってことは六時起きか・・・。朝早いわよー!」

寝る準備をしているとミシャがそう叫んだ。ファイはいつも予告した時間の二時間くらい前に叩き起こしにくる。遠足を待ちきれない子供みたいに・・・

「久々のベッドだし、ゆっくり寝たいよね〜」

「本当!あーあこれでまたしばらく野宿か・・・。ま、ロミールの料理を楽しみにしてるわ!」

「え〜、たまにはミシャも手伝ってよ〜」

「嫌よ!私は、男共と狩りでもしてるから。あ、チェロに手伝ってもらえば?」

「あ!そうか〜」

早く出るってことはペトル村は遠いんだろうな〜。う〜野宿やだな・・・

「さて、そろそろ寝ようか!ロミール、寝坊しないでね!」

「し、しないよ〜」

そう言って私たちは眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る