Goddess, Cheat, & Dash!!!!!

鈴 -rin-

第1話 女神様はツンデレ美少女!!




『あっ、ハヤテ?? あのねあのね!! いまおうちにキレイな水色の髪の毛で、長くてツインテールで、めちゃくちゃツンデレで、それでそれですっっっごくかわいくて、アスカもキュンとしすぎて死んじゃいそうなぐらいのメガミ女神さまが来ててね!! それでメガミさま、ハヤテとアスカを『イセカイ異世界』に連れていってくれるみたいなのっ!! ぜったいに楽しいと思うし、アスカ、ハヤテといっしょに行ってみたくなったから、だからだから、ハヤテもはやくお家に帰ってきて! 急いでだよ、もちろん超ダッシュでだよっ!!』


 長いっ! しかも超ハイテンションッ!!


 それは僕が家の近くの本屋で、お気に入りのラノベの新刊を買って、ちょうど店を出たとき。

 ずっとスマホが振動してたのに気がついて、急いで電話に出て。

「はいもしもし、霧裂きりさきですが」とかっていつもみたく言うヒマさえも僕に与えず、ムダにやかましい声で矢継ぎ早にくり出された、僕の妹の第一声がそれだった。


 普段からアスカはこんな感じだけど、でも今日はいつにも増して元気でうるさいかもしれない。

 もしかして、これからずっとこの調子で飛ばしてくの?


 だけど、アスカのその言葉を聞いて、僕のほうもかなりテンションが上がったのもまた事実。

 ツンデレ、女神様、異世界……ありきたりだけど、ちょうど今ドンピシャの中学二年生の僕が、興味をそそられないはずがない単語ばっかりだったから。

 そうじゃなくても、すごくかわいい女の子に会えるかもしれないってだけで、理由としては充分。


 これはもう、アスカのいうとおり超ダッシュするしかないっしょ!!


「おっけー。もう買うもの買ったから、すぐ帰るよ!」

『うん! メガミさまも今は『ふーん』って顔してるけど、ぜーーっったいハヤテのこと興味あるはずだから、急いであげてよっ!!』

 ――まっ、待って、あなた何を言ってるのよ! わたしは別に、っていうか全く興味なんか持ってないんだから!!――

『あれっ、でも『ハヤテをさっさと連れ戻してきなさい!』って、メガミさまが言ったんだよっ??』

 ――そっ、それは、わたしより上の神様から言われてるのよ! 仕方ないでしょっ!!――


 受話口のむこうからアスカじゃない女の子の、照れたようなかわいいあわて声が、小さくもれてきた。

 僕はもうそれで確信した。一応女神様……みたいだけど、これは間違いなく、僕の好みどストライクの、超テンプレど直球もののツンデレ美少女だっ!!


「待ってろよ、僕のヒロイン! 待ってろよ、僕たちの異世界っ!!」


 スマホをそのままカバンに突っ込んだ僕は、自転車を猛スピードでこぎながら、すれ違う人の目も気にせずに大声で叫んでいた。




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