【VR妹ちゃん】3

店員

「はいはい~。今大人気の『VR妹』。今なら待ち時間無しですよ~」


少女

「あの、これって女の子でも出来ますか?」


店員

「おお!? お目が高いですね。VR妹ちゃんの対応力はお嬢ちゃんの様な子でもバッチリですよ! んー、けどお嬢ちゃんはVR妹ちゃんより小さいから、VRお姉ちゃんになっちゃうかもしれませんね」


少女

「わぁ、お姉ちゃん! お姉ちゃんがいいです! わたし、お姉ちゃん欲しかったんです!」


店員

「それは良かった! じゃあこちら用紙に必要事項書いて――はい、OKです! たど……じゃなかった、VR妹ちゃん! 今回はお姉ちゃんでよろしくお願いしますね~! はいお嬢ちゃんもヘッドディスプレイつけましたね。ではスタート!!」


少女

「ワクワク(≧∇≦)」


店員

(普通ならこんな対応は無理! だがそこは百戦錬磨の田所さん! バッチリ決めてくれると信じてますよ!)


少女

「わわわっ! 本当にお姉ちゃんだ! すごいすごい、本物みたい! お姉ちゃん! わーいっ、初めまして(≧∇≦*)」


店員

(ふふふ、女の子も早速喜んでくれているみたいだ。流石田所さんだぜ。老若男女問わず魅了してしまう!!)


少女

「あ、あの……店員さん」


店員

「流石田所さ――あっ、はい、どうしました?」


少女

「えっと、お姉ちゃんがさっきから喋ってくれないんです。私、変なことしちゃったのかな……」


店員

「え? そんなはずはないんですけど。もう少し様子を見てくれますか?」


少女

「あっ、はい。分かりました。おーい、お姉ちゃんー」


店員

(どうしたんだろう? まさか対応に困ってるとか? 田所さんに限って? あり得ないぞ)


少女

「あれ……?」


少女

「お、お姉ちゃん! なんで泣いてるの!?」


店員

「えっ!?!?」


店員

(ど、どういうことだ!? なんで田所さんが泣いて――いや待て、もしかして!!)書類カクニンー



『VR妹利用者登録用紙』

名前: 田所 香奈

年齢: 9歳

住所:~~~~~~

TEL:~~~~~~



店員

(そ、そんな! そんなことが!!)


少女(田所香奈ちゃん9歳

「お姉ちゃんお腹痛いの? 病気なの?? なんで泣いているの? ――あれ?」



少女(田所香奈ちゃん9歳

「もしかして――パパ、なの?」


VRお姉ちゃん(田所さん43歳

『…………………』


少女(田所香奈ちゃん9歳

「お姉ちゃんじゃなくて――パパだったの?」


店員

(俺は無力だ! 俺は……なんて無力なんだ!)


少女(田所香奈ちゃん9歳

「なんでパパがお姉ちゃんになってるの??」


店員

(許してください田所さん!! 無力な俺を、許して下さい!!)




この店員ほんと役に立たないな終わり

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