人体錬成

「準備はできているな、弟」


「うん、兄さん。これで母さんを錬成するんだね」


「ああ、俺たち兄弟の悲願。母さんを人体錬成して取り戻すんだ!!」


「魔法陣はバッチリ。必要な材料は……。ねぇ兄さん。もう一度念の為に確認しておいた方が良いんじゃない?」


「ん? ああ、そうだな。念を入れるに越したことは無いからな!」


「うん! 僕も一緒に確認するね!」


「ああ、人体を生み出すのに必要な材料は次の通りだ。

 水36L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰1.5㎏、

 リン800g、塩分255g、硝石100g、硫黄80g、

 フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素……」


(ばっちりだ。流石兄さん、僕がわざわざ指摘するまでもなかったね……)


「……バターとハチミツを適量、胡椒少々」


「えっ!?」


「牛肉150g、じゃがいも2個、にんじん1本、玉ねぎ2玉、

 すりおろしたニンニクと生姜を少々」


(シチュー? いや、肉じゃが?)


「クミン適量、ナツメグ適量。そしてガラムマサラ適量に……」


(も、もしかして!!!)


「ほんの少々の……愛情さ!」



(今日の夕飯はカレーだ!!!!)




 適量とか少々とか本当にやめて欲しい終わり。

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