第3話
ある夜、夢を見た。いつものリビング、木の温もりに溢れるダイニングテーブル、座ると固さが伝わってくるクッションも何も無い、同じく木製の椅子。
テレビからは淡々とした声。画面にはニュースでよく見られるテロップが。
そこに書いてあるのは、彼の名前と、
左側に“死亡”の文字。
――どうして、何故、彼を連れて行かないで。
思うと同時に、私は目を覚ましていた。
涙で濡れた頬。不思議と冷たさは感じなかったけれど、心臓だけは早鐘を打つかのようにばくばくと大きな音を立てている。襲い掛かる焦燥や絶望、そして虚無。
また私は、独りになる。いつだってそうだ、幸せになれるかと思えばなれない。どんなに私が願ってもみんな直ぐに死んでしまった。
今までの人生でも私は何度か予知夢を見ていた。だから、きっと彼もまた消えてしまう。どんなに私が注意を促しても今までの人たちと同じように。
嫌だ、どうして、そんな言葉ばかりが浮かんできた。神様なんていない。いたとしても平等な存在なんかじゃないんだ。私にとっては、最低で最悪で、性格の悪い死神でしかない。
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