第24話 another story

耳にタコができるんじゃないだろうかってぐらい聞かされた話


それはまとめ甲斐がない話


だったら分と分とでつないでいこう


それは一生涯なんの役にも立たなかったお坊さんの話


口元にいつも力が入ってって


いっつも人の後追いをするかのように言葉を発する


だから経をあげることもままならなかった


それでもいつか、


その坊さんに、人生の転換期が訪れたそうな


それは住職の死である


、、


そう、坊さんはどうしていいものか


悲しくはなかったらしい


それは溜め込んでた思いが具現化したような


そう、住職を好いてはいませんでした


結果、そんな想いとは違く、住職は健やかに召されていきましたが


坊さん本人は、やっと願いが叶ったと言わんばかりに、


想いの力を信じてしまうようになりました


なんで住職を嫌っていたのかは、誰も知りませんが


暮らしにはなんの支障もなかったようです


どうやらその坊さんは、とっても気が弱いみたいなんです。


だから、いわゆる、裏がある人って言ったらいいのか


それとも本音が濁ってるって言ったらいいのか


真っ当に生きて、それでも人から好かれようとはしていないみたいでした


何よりも、刻む刹那に自分の野望ってか、邪心を投じていくことを好んでいたようでした


職業柄、法事やなんやに出かけることが増えました


そうなんです、今や住職の代わりを務めるのは、その坊さんしかいないんです


そうして、およそ三年が過ぎたある春のことでした。


目が異様に悪くなり レンズの分厚いメガネをかけるようになりました


子宝に恵まれ 四人の子を授かりました


一郎 二郎 三郎 四郎


って言った なんだか数字がすきなのかな? 想いを込めた名前を授けました


苗字はというと、、


萎江頭、、今の住職の名前は零児郎


萎江頭零児郎


どおりで、、って言った感じです


よく言われたそうです


本人が頑張ってる時ほど 萎えてるよねー って


なんつーか、本末転倒なんです、この住職は


だから、、三年経った今は、檀家の数も減り 収入も厳しくなってきました


たった三年で、そんな厳しくなるの?って思われるかもしれませんけれども


それほど風評が良くなかったって思われて結構だと思います


それと、これは面白い話なんですが、


邪心を投じることはかつての住職がなくなってからも続いてたみたいで


そのせいで悪くなった目にメガネ


巷では言われてたそうです 逆にアイロニック野郎 って


本人は気づいていない


そんなことって自分でも良くあるんだと思います


良かれか悪かれか


それを気付く気付かないじゃなくて


自分が何を思っていくか?って本質の部分が大切なわけで


それがこの坊さんにはある意味できていたが、、って話なんです


本嚢寺(ぼんのうじ)って言った寺の名前なんですが


これがなんとこっちのぼんのうじゃねーの!!??って思えるぐらい →煩悩


職業がてらでの意識の薄れ


二世、三世、と続いてくると、じゃありませんが


でも


心配はありません


窪みは隆起を生みます


つまり


ないところにはなくなるが 新しいとこにはあるって言った具合です


仏の心を亡くした坊さんばかりになったとしても


坊さんとは言われませんが、また違った形でそれらの真を受け継ぐ者が現れるのです


特別なことではなく


自然なことなのです


自然なことといえば、、


この住職は、貧しくも長生きしたそうな


それでも一人自分の経さえもまともにあげることなく

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