ポチとセルパとオム~猟犬が白い羆に風船の国へ連れられた話~
アほリ
1#ポチとセルパとオム
ぽーーーーーん!
ぽーーーーーん!
ぽーーーーーん!
ぽーーーーーん!
「オム~~~!ビーチボールが行ったぞぉ!」
「おっしゃぁーー!!」
ぽーーーーーん!
ポチとセルパとオムは猟犬だ。
3匹は、其々のハンターのパートナーが合同で訓練の為にこの山林で、口でくわえて持っていけるように控目に膨らませたビーチボールを追いかけさせていた。
茶ブチのポインター犬のポチとビーグル犬のセルパは、殆ど兄弟のように仲睦まじかった。
かつて、お互いは前のハンターのパートナーに信頼もされずに苛められていたこと。
イノシシ狩り等狩りの事あるごとに、鉢合せになること。
そして何より、お互いは『ドジ』な猟犬であること・・・等共通点は星の数位あった。
「あむっ。」
ぱくっ。
「ビーチボール取った!!」
茶耳のポインター犬のオムは、この前のキョン狩の時にポチとセルパに出逢った猟犬だ。
出逢った当初は、同じポインター犬同士のポチとの喧嘩が絶えなかった。
オムは何時も、上目線で他の猟犬を見下す振るまいをしてきたのも原因だが、何よりポチはプライドが傷ついたことが癪に触り、何かと噛み合いになりお互いのパートナーが止めに入った位だ。
しかし今では、同じ犬種のポチをライバル視をしながらも和気藹々とポチとセルパに接している。
ふーーーっ!ふーーーっ!ふーーーっ!ふーーーっ!
「オムよお、ビーチボールの空気栓を外して息を入れて何膨らませてんの?」
「ポチぃ。俺は中途半端に膨らんだビーチボールとかの空気が入ってる奴とか、少ししか膨らんでないゴム風船とか、俺が自慢の吐息で空気を継ぎ足してパンパンに膨らまして置かないと気が済まないたちでな。」
「自慢ねえ・・・そいえば、お前さんのパートナーってお前さんをスパルタで鍛えたんだってな。何で『タカビー』な性格か解った気が。」
「ビーグルよお。誰が『タカビー』だって?」「何でもないっす。」
「しっかし、俺には降参だよ。肺活量だけはな。」
ポチは、川で泳いで巣潜りした時に潜水能力がオムの方がずば抜けてたことを思い出していた。
「そうかい?俺は、潜水中のカワウ捕りの為にパートナーに肺活量鍛えられたんだけどな。
毎日プールで泳いで潜って、底まで潜って。それにゴム風船をいっぱい口で膨らませたし。」
「うひょーーー!!ゴム風船いっぱい!!頬っぺた痛くなかった?」
「なったなった!!キンキンしてね!!」
オムはそういうと、ビーチボールの皺が消えて張り詰める位にふーーーっ!ふーーーっ!と膨らませて空気栓をポチッと閉めた。
「きゃーー!!俺のビーチボールだぞーー!割れちゃったら俺の御主人様に!!」
「ポチぃ、でもこのビーチボールはガムテープだらけだよ。お前さんが牙で穴をやたら開けるから。」
「面目ない・・・あれ?オムは?どこ行った?」
「ビーチボールもない。」
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