プランタンの優雅な午睡

大森葉音

第1話

 この物語は退屈王国王女の探偵冒険公式記録である。関係各機関から公表された内容にもとづき、当該国の王宮付きライターが三人称客観描写(いわゆる「神の視点」)のスタイルで小説として書き、検閲を受けたあと一般に発表した。まったくの偶然からそのテキストを入手したわたくしは日本語に翻訳した。原語テキストは退屈語と王国公用語である英語の二種類。相互に参照し、冗談やギャグ、固有名詞などはなるべく日本人むけに意訳した。いうまでもなく、文章上の責任はすべてわたくし、大森葉音に帰す。

 なお今回の冒険で王女は、王族として未曾有のスキャンダルに巻きこまれる。その解決のために、虚偽の情報で国民をケムに巻くしかなかったが、そのことを後悔し、真相を明らかにしたいと願ったらしい。そのため、本来なら検閲削除されるはずの醜聞にまつわる背景事情も、そのまま公開された。

 この物語でみなさんの退屈や無聊ぶりょうをなぐさめることができれば幸甚である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る