第2楽章
第2楽章
「銀の天使」
銀の天使 少年よ
よく聞きなさい
一言も漏らさずに
私の言葉に耳を傾けなさい
それはあなたの義務でもあり
あなたに与えられた唯一の権利なのだから
少年よ
あなたは知らなければなりません
あなたがいる
この草原が
どういったところなのかを
そして
この草原があなたに
どのような影響を与えているのかを
少年よ
この草原は
あなたの意識の作り出した空間
自由を愛するあなたは
どこまでも続く広い草原を夢見た
狭い地面の下に閉じ込められてしまったあなたは
かなた上空の成層圏を夢見た
照りつける日差しに体力を奪われて行ったあなたは
光のみを放つ冷たい太陽を夢見た
風さえ入ってこないよどんだ空気の中にいるあなたは
爽やかな風を夢見た
そして
その夢は
あなたの意識のなかで実現した
これは幻想ではありません
それは分かっているはず
人は
それぞれの世界を持って生きている
そして
それぞれの意識を飛ばして自身の空間を作っているのだから
だから
今、
あなたはその中にいてはいけないのです
人が作り出す意識の空間は
常に人に随伴すれど
人を
中に受け入れることはないのですから
だからお願い
少年よ
心地よいこの空間におぼれて
自分を見失わないで
痛みも、苦しみも
現実に戻れば容赦なく襲い掛かってくるでしょう
でも覚えていて
それが、
生きるということなのです
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