第六話
「私は戻ってこれた。アナタだけまだなんておかしいじゃない。早く戻ってきなさいよ」
いつかの少女が成長したような姿をした女性が新たな冬桜の元にやってきていた。女性に言いぐさからすると、もしかしたら本当にあの少女の生まれ変わりなのかもしれない。
「いつ戻るのよ。まさか木は特別で戻れないとかそんなこと無いわよね」
女性は朽ち果てて、もうぼろぼろのあの冬桜に向かって、不安そうに、怒り気味に言った。
「久しぶりだね。僕ももうとっくに戻ってるよ。キミが気づいてくれないだけじゃ無いか」
「きゃっ」
女性は突如として現れた男性に驚き、悲鳴を小さく上げた。
「どなたですか」
「だから、僕はこいつ。キミとの再会の合い言葉は冷静」
「本当に、本当にアナタなの」
「そうだよ」
女性は人間になった元冬桜を抱きしめた。すると今ままで咲かなかった冬桜が満開に咲いたのだ。まるで、やっと巡り会えた二人を祝福するように。
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