第四話

冬桜が少女の死を知ってから、一ヶ月の時が過ぎた。

「冬桜さん。久しぶりね」

『まさか……キミなのか?」

冬桜が見たのは、自分の根本付近に亡骸があるはずの少女の姿だった。ただ、彼女の姿は光り輝いていた。

『なんで、キミは死んじゃったはず……』

「貴方の桜、見に来たの。うん、やっぱり綺麗。それに、アナタに大切なことを知らせに」

冬桜は綺麗な、しかし数少ない花を咲かせていた。まるで、冬桜も死んでしまうかと思わせるほど。

「もしかして、僕も死んじゃうの?枯れちゃうんだよね?」

「そう本当に悲しいんだけどアナタは枯れる。私のせいで」

「キミのせい?」

「私のために両親が穴を掘ってしまったから、私をアナタのそばに埋めてしまったから」

少女は冬桜が枯れてしまうことを悲しんでいた。そして、申し訳なく思っていた。

『命あるものは、いつかその命を終える。それは自然の摂理。僕にもそのときが来ただけだよ。キミは自分のことを責めているかもしれないけれど、僕はキミと話せるならそれも悪くないと思うんだ』

「……そう」

『それにいつかまたキミとはこうして近くにいられる気がするんだ』

「うん。命あるものはいつか蘇ることができる。私たちはまたこうしてこの現世で会える気がする」

『だったら早く向こうの世界に逝って早くこの世界に戻れるようにしよう。戻ったときの合い言葉は……』

二つの声はそろって、「花言葉で決まりでしょ。」と言った。そして、少女は木に向かって手をさしのべた。すると、木からなにやら政令のようなものが現れた。ソレは、少女の手を取り、少女とともに空へ浮かび上がった。途端、木から花が一斉に落ち、木は枯れた……



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