No.27
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いつでもどこでも誰かしらに見られていて、その視線は絶えることなどないと思っていた。一人になることと、独りになることの違い。それを自覚したのは多分、あいつと言葉を交わすようになってからだ。高校生なんていうありふれた肩書きと、性別が男であるということ以外なんの共通点も見いだせない“あいつ”。
そいつは、屋上の偏屈や究極の自由人と揶揄されることが多い。前者はわかるのだが後者はどうにも理解しがたい。究極を冠するにはまだ自由度は低いだろうと思う。そもそも学校に在籍している時点で矛盾している。こんなくだらないことに言及してしまう俺も俺、基本的に馬鹿か阿呆呼ばわりの底辺の扱いである。偏屈や自由人なんて芸術的な揶揄のされ方をしてみたいものだ。
飽くまで俺はやればできる子で、秘めたる力を隠して生きているすごい人間なのだ。
ということをあいつに言ったら鼻で笑われた。
「そういう発言が馬鹿だって言っているんだよ、お馬鹿」
うん、俺も少しだけそう思ったよ。
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