はーどぼいるどてき

八重垣みのる

第1話 カフェにて

 高山の山頂、アルパカのカフェのテラス席には博士のアフリカオオコノハズクと助手のワシミミズクの姿があった。


「やはりとやらは、飲むと目が冴えますね。博士」

「そうなのです、助手。頭が冴えるのです」

「それにしても博士、この前に見つけたとやらを使えば火を使わなくても料理ができるかも知れませんね」

「そうなのです。とすれば毎回ヒグマに頼まなくても済むのです」


 二人は再び珈琲こーひーをすするとため息をついた。遠くでトキが歌っているようだった。


「博士、この後はツチノコのとこへ向かいますか?」

「そうなのです。例の調査を依頼するのです」

「ここ最近、我々はなんだか忙しくて暇がありせんね」

「そうなのです。かばんがいろいろな問題を解決してからというもの、フレンズ達の交流が活発になったような気がするのです。我々も島のおさとして出向かなくてはいけないというものなのです」


 博士と助手が珈琲こーひーを飲みながらゆったりとしたひとときを過ごしていると、スナネコとツチノコがやって来るのが見えた。


「おー、ここがカフェ?眺めもいいですね。まんぞく…」

 スナネコは辺りを見渡すと、まったりとした口調で言った。

「カフェを飲みに来たんじゃないのか?来ただけで満足してどーする!」

 どうやらツチノコがロープーウェイを漕いで来たようで、少し疲れている様子だった。


「博士、あれは…」

「うむ、あれはツチノコとスナネコなのです」

「珍しいですね」

「ここにツチノコが来るなんてレアなのです」

「博士、例の調査を頼むチャンスではありませんか?」

「そうなのです、助手。こちらから出向く手間も省けるというものなのです」


 ツチノコとスナネコがカフェの近くまで来ると博士は声を掛けた。


「ツチノコ。ちょっと頼みがあるのです」

「ツチノコは調べることが得意と聞いているのです」

 助手も続けて言った。

「な、なんだっ、いきなり!」

「頼み事があるのです」

「こ、このオレにか?」

「そうなのです。我々は忙しいので」

「島のおさはやることがたくさんあるのです」

「ツチノコ、じゃぱりまん一ヶ月分で頼まれてほしいのです」


 しかしツチノコは乗り気ではない様子だった


「オレは遺跡を調べるので忙しい」


 その返事に博士と助手は顔を見合わせた。


「うむ、やはりじゃぱりまんでは容易に引き受けないようなのです…。それなら助手、例のものを出すのです」

「出しますか?」


 小声で話し合うと、助手は小さく薄くて円盤状のものを取り出した。それはカタンっと硬い音を響かせてテーブルの上に置かれた。


「そ、それはっ!」

 ツチノコはそれを見た瞬間に驚きの声を上げた。


「なんですか、それは?」

 スナネコも物珍しそうに覗きこんだ。


「ジャパリコインなのです」

 博士は言った。


「ど、どこでこれを!?」

「引き受けてくれたら好きなだけあげるのです」

「な、なにっ!」

「我々はジャパリコインの他にも色々見つけたのです」

 博士が胸をはって言った。

「調査を引き受けてくれたら在処を教えるのです」

 助手も続けて言った。


 ツチノコの気が少し変わったようだった。


「うーん、まあ、内容を聞いてやらんこともないかな…」

「四神の山にある、についての調査してほしいのです」

「山に入っていいのか?!で、そので何を見つければいいんだ?」

「なんでもいいのです。ヒトに関わるものを見つけてくるのです」

「見つけてくるのです」

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