対人最強魔導士☆カレンちゃん
トカゲ
第1話 登場☆最強魔導士カレンちゃん!
都市カルダテア郊外――
廃墟と化した遺跡の中で1人の少年が6人の盗賊に囲まれていた。
少年の容姿は美しく、その銀髪が短くなかったら少女と言っても良い容姿だ。彼の華奢な体は触るだけで壊れてしまいそうな儚さがあった。
まさに美少年、男の娘とは彼の事を言うのだろう。
対して6人の盗賊たちを例えるならゴリラだ。
少年を見て息を荒げ頬を赤らめる姿はホモそのものである。
「悪いようにはしねぇよ……」
「いやぁ!」
盗賊の丸太の様に太い腕が少年に伸びた時、彼らの耳に凛とした声が響いた。
「待ちなさい! 寄ってたかって弱い者いじめは好かないわね!」
「良いところを邪魔しやがって! 何者だ!」
盗賊たちが声の方を振り向くとそこには腰まで伸びた赤髪を風になびかせながら立っている1人の少女がいた。
皮の鎧の上から黒のジャケットを身にまとい、右手には銀色の杖を持っている。
「なんだ、冒険者の小娘が1人だけかよ。舐めやがって、逃げるなら見逃してやる。消えな!」
彼女が少年だったのならホモである盗賊たちは見逃さなかっただろうが、盗賊たちはホモなので美少女には靡かない。
「そっくりそのまま言葉を返すわ。私は対人最強魔導士カレン・アハーンよ! 逃げるなら見逃してあげる!」
「カレン・アハーンだと!?」
盗賊たちはカレンの言葉を聞いて警戒を強めた。
カレン・アハーンといえばS級魔導士だったはずだ。
もし本当だとしたら自分たちに勝ち目はないだろう。
「お前ら、怯むんじゃねぇ! 相手がカレン・アハーンだったとしても所詮は魔導士だ。魔法を使われる前にやっちまえ!」
盗賊頭の怒声が響く。
そう、いくらS級魔導士だとしても、後衛職が1人で何ができるというのか。
盗賊たちはいっせいにカレンに襲い掛かった。
「全く度し難いわね。ボッキーノ!」
カレンはそんな盗賊たちを見て溜息を吐いた後、ボッキーノの呪文を唱えた。
カレンが唱えた呪文であるボッキーノとは、男根を最大限に勃起させる呪文だ。その効果は20分ものあいだ持続する。
「な、なんだこれは。勃起が収まらねぇ!」
「刺激が強すぎて動けないぞ!」
そしてボッキーノの効果は勃起だけに収まらない。
更なる地獄が彼らを襲う。
「ば、ばかな! 遅漏である俺様がもう絶頂するなんてぇ!」
「こ、こんなことってぇ!」
そう、ボッキーノを受けた男性は1分間に1度強制的に絶頂してしまうのだ!
盗賊たちは強制的に何度も絶頂させられ気絶してしまった。
「大丈夫だったかしら?」
「はい。ありがとうございます」
これが後の大魔導士ノイ・クラベンと対人最強魔導士カレンの初めての出会いであった。
「すいません、カレンさん。僕はノイ・クラベンって言います。あの、僕を弟子にしてくれませんか!?」
大魔導士ノイ・クラベンは後の日記でこう語っている。
僕は彼女を超えることが生涯かなわない事を悔しく思うと―――
・・・
ボツ魔法
コイバナン
この呪文を掛けられた者は10分間の間、初恋の相手(いない場合は両親の名前)を叫び続けることになる。
コイバナンは盗賊たちに追加で掛ける予定だった魔法です。
初恋の相手を叫びながら絶頂する盗賊たちをビデオで撮影して脅すというラストを考えていました。
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