第3話 嘘つき。




家に帰る頃には身体はもう限界だった。




こんな思いをしてまで、どうして学校へ行っているんだろう。



自分で自分が不思議に思える。





あぁ、もう6時過ぎだ。



急いで病院に電話を掛けた。




「もしもし、母さん。」


「もしもし、今日はもう電話してこないかと思ったよ。」


「そんな訳ないだろう。少し寄り道をしてたんだ。」


「そう、学校は楽しい?」


「うん。友達とね、明日遊ぶ約束をしたんだ。」


「よかった。ちょんとご飯食べるのよ。」


「うん、わかってる。」


「じゃあ、身体に気をつけて。」


「母さんもね。」



電話を切ると、とても大きな罪悪感に襲われる。




ダメな僕はこれくらいしか貴方を安心させる方法がわからない。






嘘つき……。




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