第21話 風の歌

樹木を揺らす風の音が好き

ざわざわと鳴り重なり合う音楽

洗濯物を思い切り気持ちよく乾かしてくれるし

季節の花の香りで庭や街路を

満たしてくれる

少しくらい元気がなくても

この香りに癒やされて

数センチヒール靴でもジャンプも出来る

雲を散らし

溢れるお日様の光は

おかげで余すことなく地上へ届くのだ

雨雲を運び

恵の雨をもたらし命の糧となる

遠い昔の記憶を撫でて

私の頬に微かに触れて

懐かしい想い出を呼び覚ましてくれる

妖精の羽の風

辛く悲しい想い出を

遠くに吹き飛ばしてくれる優しい風

私の付け睫毛を飛ばして

あなたを笑わせてくれたお茶目な風

時には

思いもかけず

異次元に運んでくれる乗り物型の風

私の魂を

愛するあの人の元へ届けて欲しい

風の魔法で

あの人をここまで連れてきて!

私は風が好き

少しくらい強い風でもいいの

風の吹く日が好き

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