第16話 夏の午後

夏の夕暮れ

気だるさのままに

あなたと街を歩いた


「夏の夕暮れは好きだな」


ずいぶん昔のことなのに

今も鮮烈に思い出す


きっとあの時

あなたは私を

胸いっぱいに

愛していた

未来も約束も

確かなものは

何もないけど

あなたはきっと

咲き誇る

花のように

幸せだった

だから今も

その言葉が

愉しげに

聞こえてくる


あの夏の太陽より

今でもあなたを

愛しているわ


あなたの愛は

夏の太陽よりも

熱くて激しいから

花びらは

香り立ち

私の心を

ゆったりと

うるおし

満たす


夏の夕暮れ

陽炎にも似た

熱いオレンジ色の

夢と吐息

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