KO-鶏王- 最強の女店主(仮)

恋住花乃

Epi.1 俺は死んだ。

「ハァハァ…俺をこないにする奴は初めてや。面白い!賞金の1000万はくれてやる。だが、俺はお前をぶっ潰す‼︎俺のバックにはヤクザがついている!五万でも六万でも兵隊は出せる。せいぜい身辺整理をしておくんだな。」藤堂琢磨は瀕死の状態でそう言い放った。


「ふざけんな‼︎お前はここで終わりや。良い加減諦めんかい!」西蓮寺は思い切り藤堂の顔をぶん殴る。


「勝者‼︎西蓮寺ー龍聖‼︎」ボクシングのレフェリーのかけ声を元に1000万を獲得する。


「これで店は救われる。これで店の赤字は解消される。こんなに人を殴ったんは中学以来じゃ。」

「見事だったよ。龍ちゃん。」賞金を受け取った後、1人の女性が話しかけた。

「ありがとな。絢。俺はお前を何があっても守ってやる。」彼女は黒瀧絢(くろたきあや)である。不良であった西蓮寺の心を射止め、ただのイキがっているダサい不良ではなく、芯の通った男になろうと思わせるようにさせた彼の恩人と言っても過言ではない。

「龍ちゃん。無理しないでね。店が無くなっても何とかなるから。」

「俺にとってはあの店の客が皆、かけがえのない友なんや。だから守りたい。その為ならあの男を追い詰めてやる。」


怪我もまだ治っていないまま次の日、「chicken's kitchen-鶏王-」で料理をしていた。

「マスター、大丈夫ですか?その怪我。」

「いや心配はいらん。それよりこの店をしばらく閉めるかもしれんから、許してくれ。まぁ一身上の都合でな。」

「ここのハーブチキンとても美味しいのに、それは残念ですね。分かりました。気長に待っております。復活を。」

「この店は恋人の絢が継いでくれる。まぁ後ほど帰ってくるから宜しく頼んだ。」


今日も俺は焼き鳥をつまみながら、客と一緒に会話を楽しんだ。

「明日は1日休みをもらう。リニューアルの為にね。味は基本的に変わらないよ。だからこれからも宜しく頼むよ。」

「はい!」

そうしてサラリーマンの呑み会も終わり店仕舞いをしていた時に、あるインテリ系の男性が戸を叩く。

「西蓮寺龍聖様ですね。我が主人、藤堂琢磨より手紙を届けるように命を受け、只今手紙をお持ち致しました。返信は不要とのこと。これにて失礼仕る。」その男は足早に去っていった。


手紙を開く。「ええと。」

『憎き敵 西蓮寺龍聖へ

貴様は私に勝利した。しかし、私はまだ生きている。私の目が黒いうちは全力でお前を追いかけ、お前の命を絶つ。準備の期限は今日から3日後。そこから戦を始めようやないか。藤堂琢磨』


藤堂琢磨は世襲政治家の藤堂一族の5代目藤堂宗二の息子である。名目上は武蔵国の政治討論官に過ぎないが、朝廷をも動かす権力の持ち主らしい。


「よし明日で俺は逃げられるところまで逃げてやる。見つからんようにな。」

「龍ちゃん。死なないでね。私、これからも一緒に居たいからさ。」

「ああ。約束する。」

暫くこのエリアを離れることにした。



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