４３歳おっさん 子育て始めました。。。

フリーターおっさん 親子を拾う

私の名前は渡辺恵一、今年４４歳になるフリーターだ。両親はすでに亡くなり実家に暮らしている。弟夫婦がいて近くに住んではいるが弟夫婦も一軒家を立てており一人暮らしである。

一応料理や家事は人並みにできる、「男やもめに蛆がわく」なんていうのは昔の話である。

コンビニが私の職場だ。本来はコンビニで働く気なんてなかった。しかし超氷河期で仕事が見つからずその結果うつ病という病気を抱えてしまった。

それからは男一人食える分だけは稼いでいる。

いつもと変わらずコンビニの仕事を終えると自転車で帰路に就く。

いつもとかわらずスーパーで食材を買っていく。

「大根が安いな」大根一本５０円セールだ。

思わず手を取りカートに入れた。ほかの食材もマイバックに入れて帰宅する。

スーパーから自宅に帰る間川が横たわっている。

昨日の強い雨のせいか水の勢いが強かった。

自転車を押して橋を通りかかると一人の人影が見えた。

「川をのぞいているのかな？」と思ったが欄干に足をかけていた。

「身投げだ」そう思ったが走ってもあるかない距離である。

ともかくも体を欄干から離さないとそうおもい何かないかと思って手に取ったのは大根だ。

大根を手に取り投げた。中学生まで野球部のピッチャーだったから多少は自信があった。

「きゃあ」といって女性は体を倒した。

急いで女性に駆け寄った。

「大丈夫ですか？」

「死なせて、しなせて～」と女性は言った。

「おぎゃー」と大きな声が聞こえた。彼女の背中には赤ちゃんがいたのだ。

雨が暗い大地に降り注いでいた。