四時、UヨIHSうOHaMー帰ってください‼異世界への人口流出が止まりません!ー

季早伽弥

第1話

「彼まだ来てないんだね」

「遅れるんだって、学校で日直なの忘れてたらしいわ」

「1人で退屈かい?少し話をしようか」

「雑談なんてできるんだ、意外」

「ひどいな」

「だって話題振っても全然乗ってこないじゃない」


「君たち答えにくいことばかり聞くから、立場上言えないことも多いし」

「彼女いるのとか、ここは何時いつからとかが?」

「…ごめん。それ政府の副読本?どうして今頃」

「1度くらい見とこうかと思って」

「…それどうかな…」

「だって、ここに書いてあること知らない人なんていないし、ネットの方がよっぽど詳しいし」


「それでもネット上のものは玉石混交で不確かな情報が多い、だから―」

「これだってけっこうな作為的内容だって言われてるじゃない。

 正しい知識を、はともかくそれで自国民としての自尊心を高めようってなるとなんかよく分かんないし」

「…そうだね、俺もよく分からない」

「つくづく意外。言うんだそんなこと」

「心外だな言うさ、それくらい」

「微笑むとこそれ?いいけど、――そうだ、あの娘って今どうなってるの」


「あの娘?」

「――副読本の、29ページ、『国家の功労者であることに変わりありません―』゛失敗した少女゛のことよ、誰に聞いても教えてくれないけど、な人なら教えてくれそう」

「……セキュリティ上詳しくは話せないけど、この国で落ち着いた生活を送ってる。さすがに以前のようにとはいかないけど――」

「じゃあ記憶消されて顔も整形されてるっていうのは?」

「これ以上は――…彼女の、記憶には大きな欠落がある。人為的なものではないけど」

「つまりあの時の記憶は無いってことね、そりゃ覚えてたら正気じゃいられないか……『我が国で異界との接点(入口)が正式に確認・発表されたのは西暦―』」


「よかったら、簡単に説明しようか」

「だから知らない人なんか――まあいいわ、暇潰しくらいにはなるかも」

「そう?じゃあ始めようか――」





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