ミモザの丘でアリアが歌う
マルゲリータ
第1話
今日も市場は賑やかだ。砂漠のオアシス、マドラーダ王国。貿易が栄えており、市場にはいつでも様々な民族が行きかっている。
師が休みをくれたので、久しぶりにグラン、マヤと一緒に買い物に来た。
グランは大臣の娘らしくない娘だ。天真爛漫でお高くとまっていない。マヤは彼女の侍女だが、彼女らは歳近い姉妹のように仲が良い。将軍の娘である私にも対等に接してくれる。
ここ最近は隣国からの来賓でそれぞれ忙しかった。会話に花を咲かせ、年若い町娘たちのように無邪気にはしゃぎながら市場を歩く。
今日の目的はロゼを食べに行くことだ。ロゼは庶民のお菓子で、砂漠の薔薇とも呼ばれる砂糖菓子だ。砂漠の薔薇という石に似ているらしい。普通は茶色いのだが、この市場には色とりどりのロゼを売る店ができ、乙女たちに大人気。我々も噂をききつけてやってきたというわけだ。
あちらへこちらへと行き交う人々を掻き分け前に進む。陽射しも強くなってきたお昼時、人の熱気もあってとても暑い。髪を隠すために被った重いローブが蒸す。私もこんな日はローブを脱げたらどんなに楽か。フードの中に風を送り込もうと上を見上げると隣を長身の青年が通りすぎるところだった。
カミラ国王カイ。
どうして彼がここに?
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