永若オソカ
第一話 失敗厳禁遊泳術模索中
図書館で探す
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図書館の児童書コーナーを少女がうろついています。
年齢は十代あたり。小学校高学年から中学生の間と推定してください。
彼女は小説コーナーを行ったり来たりしています。
その様子から、少女が本を探していると察しがつきます。協力しようと声をかけると、少女はこう言いました。
「『かたつむりの観察者』を探しているの」
あなたなら、どのように本を探しますか?
「なかまちゃんの言ったとおりに文字を打ちこんでみたけど、『該当する資料がありません』って出てきたよ」
「え? ない?」
なかまちゃんは昼間にお化けでも見たような顔でヒットゼロの画面を凝視しています。なぜ自分の探している本が出てこないのか不思議でならない様子です。
クラスメイトが読んでいた、図書館で借りた本に興味を持ったなかまちゃん。今度は自分が借りようと図書館へやってきたのに見つけられずに困っていました。
「なんてこと……。でも、あの子はたしかにこう言ってたの。『とくにカタツムリの観察者の話がゾッとした』って」
どうりで見つからないわけだと枝光は納得しました。
「そのセリフだと、『カタツムリの観察者』って本のタイトルじゃないかもしれないよね?」
「え、違うの?」
「言葉のニュアンス的に、そのお友達は感想を言っただけじゃないかな? カタツムリの観察者が登場する話が面白かったよって……」
「うそ。そういう意味だったの?」
「げんに、そのタイトルの本はないみたいだし」
なかまちゃんは肩を落としました。タイトルを覚えていないことがそんなにショックだったのでしょうか。
「落ち着いてよ、なかまちゃん。今度その子にタイトルを教えてもらえれば──」
「無理なの。もう二度と会えないから」
諦めたような苦笑いをつくりながら、なかまちゃんは断言しました。同じクラスなのにもう会えない。登校拒否なのかお引越しなのか、とにかく事情があるようです。
「さなちゃんってさ、図書館に詳しいよね?」
なかまちゃんは懇願の意を込めて手を合わせました。
枝光が頑張れば見つけられるかもしれない可能性に賭けています。
たしかに枝光はたまに本探しのお手伝いをします。
今回だって困っている人を見かけたから近づいたのです。
「よーし、頑張るぞー」
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