小説家への道にラブコメ的展開を。

@nokemonoP

始まりの展開


「あばよ。教室」


なんて中二病っぽい事を言って教室を出た俺は4月から高校生になる。

中学校生活は散々だった。なにしろラノベヲタクというだけでいつもぼっちにされてきたからだ。

そんなわけで高校生活にも何か期待を寄せる事もなく始業式の日がきた。


俺はいつも通りの時間に起き、朝食を食べて家を出た、が誰か家の前に立っている。


「荒川 誠!」


そう言ったのは幼馴染の神崎だった。彼女が同じ高校に進学していた事は知っていたが家の前にいるのはおかしい。なぜなら彼女は中学校生活の後半はほぼ無視。それどころか他人のふりすらされていた。


「よ、よう...」


俺は状況を飲みこめないままとりあえず返事をした。


「もっとシャキッとしなさいよ!」


そう腹をたてて神崎に言われるが、そもそも友達がいなく中学校はほとんど近所のおばさんおじさんとしか挨拶をして来なかった俺にそんなハキハキとした挨拶ができるわけがない。


しかし今はそんな事はどうでもいい。一番の問題はなぜ神崎が家の前で俺を待っていたか、だ。


「なあ神崎」


「なによ?」


「なんでお前、家の前で俺を待ってたんだ?」


と言ってシンプルに質問してみたが神崎の様子がいつもと違って動揺しているように見える。


「そ、それは...あの...」


「あんたにちょっと相談があるの」


「放課後、あんたの家行っていい?」


俺は驚きのあまり数秒間その場に立ち尽くしていた。


今まで女子を家に入れたどころか相談なんて事はニ次元にしか起こらないものだと思っていたからだ。しかし断る理由もない。父はイギリスに単身赴任、母は八年前に病気で他界している。俺は別に女子に抵抗があるわけでもないし。


「まあ別にいいけど」


そういうと神崎は


「じゃあ三時に行くね!」


と嬉しそうに言った。


三時?そうか今日は始業式だ、昼前には学校が終わる。


「おう」


そう言って一緒に登校した。

新しい学校になっても俺は変わらない。

自分がラノベヲタクだと言う事は自覚しているが別に悪い事だとは思っていない。人にはそれぞれの趣味がある事は当たり前だ。それを否定する奴らはただのご都合主義でしかないゴミと思っているからだ。


そんな事を思いながら始業式を終え、新しいクラスになってもヲタク全開でいた。もちろん周囲の目は冷たい。

そんなこんなで初日から陰キャラとなってしまった俺はクラスの中に見覚えある顔を見つけた。それはあの神崎だった。


「神崎〜!」


と言って手を振ってみたら神崎はすごい勢いでこっちに向かって俺の耳元でささやいた。


「学校で話しかけてきたらブチ殺す」


そんな言葉を口にしたにも関わらず神崎は笑顔で新しくできた友達のもとへ帰っていった。


「しぐるちゃん、あいつと知り合いなの?」


「い、いや全然知らないよ〜」


俺はどうやら中学校の時と同じように他人のふりらしい。まあ別にいつも通りと言えばいつも通りだ。

そう思うと朝の事が気になって仕方ない。

そうして今日の学校も終わり、ついに約束の時間が迫ってきた。家のチャイムが鳴る。

ドアを開ければそこには大きなバックを抱えた神崎がいた。

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